みんな幸せになってほしい

ひどい父親と愛情深い母親のもとに生まれ、薄幸な子ども時代を送った少女がその後幸せに生きる物語です。

主人公は様々な艱難辛苦に見舞われますが、一番回数が多いのは「好きな人に冷たくされる」です。

冷たいどころか、勘違いされて暴力を振るわれること数回。
それでも古志加ちゃんは三虎が大好きなのです。

その心理描写の巧みさと、奈良時代というあまり馴染のない時代の慣習やファッションについての詳細な描写に魅了されます。

また一見「文学」らしい硬派な雰囲気を纏っていますが、実はシリアスとコメディとお色気のバランスが絶妙でとても読みやすい作品でもあります。

登場する人物たちがみんな人間らしく、それぞれの考えを持ち生き方を模索しているので、主人公たち以外の幸せも願わずにいられません。
いい人たちはもちろん、プライドが高いせいで生きづらそうな藤売サマも幸せでありますように。

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