その時代、眩しく輝く恋心があった

わけあって男さながらの生活を強いられてきた男まさりな主人公の女の子は、不遇を乗り越えとある男の子に拾われます。そしてその男の子へ馳せる恋心を機とし、女の子には女らしい愛らしさが芽生えていくのでした。

悠久の時代の風に包まれる——。
荒波の日常に笑い、泣き、楽しみ、悔しむ登場人物たちの模様が、生き生きとして描き出されています。
また、主人公と男の子との恋の行方も見逃せません。長いじれじれが続きますが、その中で露わになる女心と男心は、はじける雨垂れのように繊細で麗しいものです。

心の琴線に触れてくるような細やかな文章、ひとたび読めば、その世界観にどっぷりとハマることでしょう。
きっと、やみつきになるはず。愛おしくなるはず。まさに、「美しい」と称えるにふさわしい作品です。

ぜひ、ご一読ください。

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