をのこも誦む、恋愛物語

なるべくネタバレをしたくないので、何を書こうかと本当に悩んでいたのですが……ずばり「愛」ですかね(照)。
しかも、一途な愛と言っても過言ではないと思います。

そしてそれぞれの人たちが、それぞれの立場での喜びや悲しみ、悩みなどを持っています。
多くのものを持つ人が、必ずしも本当に望むものを得られるわけではないとも言えます。

主人公の女性(私は彼女が主人公だと思ってます)は、最初はほとんど何も持っていません。
奪われてばかりと言っていいと思います。
正直、読むのがつらかったです……ホントに。
でも、それを乗り越えたからこその、最後のカタルシスであり、満足感なのです。

この作者様は一応完結した本作に、新たなエピソードを挟んだり、加筆したりして時折ブラッシュアップされています。
作者様がどれだけこの作品に愛情をかけ、大切に思っているのかがうかがい知れるというものです。
私も、ここまでしっかりと作り込んだ舞台を一作や二作で終わりにしてしまうのは、全くもって勿体ないと思っています。
同じ時代、舞台を共有したいろんな物語を楽しませてほしいのです。

実際、サイドストーリー的なものも複数投稿されていますし、そちらから読んでも大丈夫なように作者様は配慮されていますが、やっぱりまずは本作!
基本の本作をお読みいただいてからの方が、断然楽しめることと思います。

また、作者様は本作の読者を主に女性層だと考えていらっしゃったようですが、読み終えた男性の私から見て、正直性差でこの物語の煌きが変わるものではないと考えています。
これは別の場所で作者様に伝えたことですが、私にもちゃんと恋愛を主軸とした歴史小説のように楽しめたからです。
ですから、奈良時代の恋愛物語と言うことに変な先入観を持たず、あまり気負わずに読んでいただきたいのです。

最後に……
作者様の他作品でのレビューでも触れましたが、本作のタグにもどうか注目していただきたいと思います。
ある意味、秀逸なあらすじで……私は読了後に気付いたのですが、笑ってしまいました(笑)。

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