魔法×SFアクションの外連味と作劇の妙

 魔法で動くパワードスーツを、現代日本の眼鏡のOL女性(しかも一人称がぼくであだ名は「サカナ」)が纏ってアクションを繰り広げるという、要素だけでワクワクすること間違いなしの設定でこんなにもアクションシーンを躍動的に、しかもSFガジェットらしさをふんだんに押し出して描いてくれることに感謝しかありません。
 作劇においても、巻き込まれたサカナが徐々に戦いへ意志を固めていく様子が説得力のあるものとして語られています。
 火勢というキャラクターがまたいいんですよね。守れなかった息子のことがあるから行動にそれが出ていて、サカナもまた下手な言葉をかけるのではなく「運転を代わる」という行動のささやかな優しさで接したりしていて。
 作劇面だと、アクションの前振りとして戦闘で優位に立つためのロジックの結果琵琶湖から名古屋まで移動するという面白さが生まれているような作り込みも素晴らしいです。
 間もなくカクヨムコン期間が終了しますが、遅くなっても絶対最後まで読みたい作品です。
 

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