シェアハウス・イチゴ館の生活は、甘くない!

桜猫あんず

~プロローグ~ 黒歴史、再び

 琥珀こはく高校 二年 五十鈴川いすずがわ 賢智けんち


 二年間、黒歴史ノートに追記していなかったが、書かざるを得ない事件が発生した。現在、判明していることを記録する。


 今朝、登校したら校内のホワイトボードに人だかり。そこに貼られていた二枚の写真。


[一枚目] 繁華街を背に二人の男女。


 ・男子の顔にはモザイク、

  その横でピースをする笑顔の女子。

 ・明らかに俺が良く知っている『七草スミレ』

 ・黒縁メガネが似合う委員長タイプ。

  筋金入りの真面目女子。

 ・中学校の同窓生、俺が所属する

  アメリカン・フットボール部のマネージャー。


[二枚目] 大きなテレビの手前にベッド。

      どう見てもラブホテルの室内。


 ・顔を両手で隠す女子。

 ・前髪には、花のスミレを模した

  レース編みが付いたヘアピン。

 ・七草が中学時代から、

  いつも付けているヘアピンに酷似。

 ・『こいつビッチ↑相手は一流私立大学生!?』

  と写真に白のマーカーで記載。

 ・二枚目から推定するに、一枚目の写真は

  ラブホテルの前である可能性あり。


[本人] 遅れて登校した七草の反応。


 ・写真を見て蒼白になった。

 ・制止を振り払って学校を飛び出す。

 ・その後、登校せず。

 ・SNS、メール、電話、全てを遮断中。


 七草がこんなことをするなんて、絶対に信じない。「あいつ、サセ子」と噂が広がるが、あり得ん。事実関係が分かるまで部活動は停止。七草が悪いみたいじゃねーか!


 俺は、一人でも捜査する。本件が黒歴史に認定されないことを切に願う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る