えっ? そっちから転生してきたの!?


 普通の女の子、貝塚恵美には前世の記憶がある。ただしそれは、乙女ゲーム『ウィザードナイトストーリー』の主人公であったという記憶。
 え? 前世がゲームの主人公だったなんてことあるの? でも、彼女の前世の記憶は、ゲームの内容そのまんまなのだ……。

 という不思議な記憶をもつ主人公・貝塚恵美。彼女はそれを不思議に思いつつも、普通に生活していたのだが、高校の入学式の日に出会った男子生徒に衝撃を受けてしまう。
 その男子は、恵美の前世の記憶にある最悪最凶の魔王、ラインハルトに生き写しだったのだ。もし彼が本当にラインハルトだったなら、この世界が破滅させられる……なんてことはもちろんないはずなのだけど。

 前世の記憶が乙女ゲームの主人公。
 ゲームへ転生というのは聞いたことがあるけれど、その逆は聞いたことがない。そもそも、生まれたときに、そのゲームは発売されてなかったわけだし。


 という、ちょっと面白い設定からスタートする物語なんですが、前世の記憶にある魔王そっくりな男子が登場してしまったために、恵美の大騒ぎが始まる。

 が、いっけん最悪最凶の魔王であるはずの遥人が案外いい奴だったりして、ちょっと彼のこと見直したあたりで事件が起こる。
 そこからは、まさかまさかの急展開。え?そっち!そっちいくの?の連続でこちらの予想を裏切り、裏切り、あれよあれよという間にとんでもない場所に連れて行かれます。


 読了後、あらためて目次を見たんですが、え?山に登るエピソードってあんな最初の方にあったのかと驚きました。あそこからは怒涛の展開でしたので。


 そして、ラストのさらにあとのおまけ。
 ……いやー、ずいぶん遠いところに連れてこられたなぁ。
 距離的にそんなに移動する物語ではないのですが、なぜか十万光年くらい旅した気分になりました。

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