第11話 見ている【だりあside】



彼女は、目視できる「バイク・自転車」置き場の人影に、気づかず、片方の頬にこぼした、熱い湿り気を拭う。


興奮のあまりに、いつもの「冷静さ」がかけていた。


弱音を吐かない優等生が、彼女で………


「沈着冷静」を保ちたい立場がなくなるから


彼以外に(保険医すら)見せない涙を、無事、誰にも見られずに済んだと、ホッとする彼女。


まだ視線には気づいていない。



彼女が彼に「恋心の告白」を断られた日から、数日がたった。


彼女の世界では、彼女の泣き顔は、彼しか知らない。






だりあは「男子の友情」の大人気の少年漫画雑誌を、3種類くらい読んで居た。瑛一が少年で、だりあが少女だから、読んで居た。だりあの感想は。



女子漫画の読者は、少ない人数(か大勢)でつるみ、共に行動をして、変化を嫌う。男子漫画の読者は誰がみてもわかる、絆の深さを武器に、変化を求める。


間違ってるかも?


少女漫画も少年漫画も、だりあが好きなのは「お涙頂戴」モノで、今も昔もそれは王道で、物語から得られたり、得られなかったりするテーマの「希望」と「共感」が今のブームだから。


だりあは瑛一に合うのは、どちらにも対応出来る「少年少女のみっくす」と想った。


「希望」と「共感」か?


この想いは「独占欲」や「嫉妬」に好意的でないと理解されづらいと想う。だりあは遥にむき出しで。

瑛一はどうだろう?

もしも、私が彼の側に居れなくなったら、どう想ってくれるのだろう?

瑛一に「だりあ」は、無くてはならない関係を作る為に、何をしたら良い。



うぇーいな彼女を、視線の生徒は知らない。


心痛む光景だった。


彼女の気持ちもわからないまま、日にちが過ぎる。


彼の正義を、彼女におしつけて良いか?何時間も悩んだ。


交通事故にならない様に、しばらくバイクは、手入れだけしている。


通ってなかった、久びさの登校で出来た縁なので、不本意だが、真面目に登校して、彼女が苦しいのなら、何かしようと彼は想う。

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