第4話 聴こえた【・・・side】



▼△


「瑛一!好きだよ」


真夏の、風通しが良い屋上で、委員長の仕事の為に、一人遅れて、昼休みの弁当を一人で食べてる瑛一に一声。


ふふ、ウッそ


飽きないなだりあは

仕方がないヤツって、愉しそうに瑛一が、笑うのを見てると、又、嘘がつきたくなるのだ。


「絶対、一緒の大学に行って、同じ会社で」働こうね。

瑛一の希望にあわせるから・・・


なぁ~んて。



▼△


ふらっと、瑛一は何時もの光景を思い出してた。


此処は冬の遥の別荘で、スキー合宿の最中、遥が遭難。運よく瑛一に発見され避難中。


と、いう油断できない現状。


別荘に入る為に、割って入ったガラス窓から、雪風が彼等の体温を奪う。

容赦がない。


震える遥を見た瑛一は提案した。


「塗れたのを乾かした衣類を来て」


毛布か何かを被り、並んで座ろう。



「恥ずかしがってる場合じゃ無いよね」


うつむき、赤い顔を隠す遥の腕を引き向き合った。


白い息があがり、その部屋の寒さを、無理矢理にでも思い出させる。


「ごめんなさい。私が悪いのに」と、遥が可愛い表情をくもらす。


何時もなら、照れてしまう瑛一だが、今は生命の危険にさらされてる為に、真剣だ。


四季使えなくもない別荘の為に、毛布を見つけた二人は、


水分を払った衣服を身に、二人は毛布にくるまり座った。

雪風が一番入らない場所に、一緒に座った。


きらきらした粉雪が見えた。

粉雪が電灯のあたりで溶ける様はきれいだった。


だから瑛一と、特に遥は一緒に、思い出した。


「瑛一クン」って私の過去に救出してくれた?と聴く。今、思い出した。怖かったから。

それに瑛一が答える。

「・・・」



▼△



もうこれは、自己中の私の最初の恋だけど、最後の恋になればいい。



放課後の教室

「瑛一クンちょっと話があるんだ。」⚫⚫⚫が声をかけた。


夕焼けが輝いてる日差しが教室の瑛一クンにもあたって、にっこり笑うのが常の瑛一クンの印象が違う。初めて見るとても切な気な顔で、胸が痛くなった。


恥ずかしくて耐える自信の無い私は「あのね」と話し出した。






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