第7話 ごめん 【瑛一 side】

告白されて、苦しむ彼女にとどめをさした酷いボクは、保健室に彼女をとどけ、さりげなく、その部屋から姿を消す。ボクが傷つけた彼女を保険医が慰めてくれると良いのだがと、人任せにする無責任さに苛々するも、彼女を想えば、泣きわめくのなら、ボクは席を外した方が良いと想えたからだ。


ボクは彼女を大切に想っていたから、彼女の最大級の好意を素直に「嬉しく」感じた。


想う反面、更に「悲しく」なった。


応えられない自分の身勝手さに、これが本当の「冷血漢」と言うのかもなと、嫌いな一面を増やした。


ボクの彼女達への好意(きもち)が、後々のボクの立場を「むちゃくちゃ」にする様な気もするし、純心な彼女達を傷つけた罪の罰は何時か「購わなければ」ならない筈。


ボクは片方に戦友を意識し、もう片方に恋してる。そう、恋だと想う。



黄昏が角度を変えて、調べを奏でている様な美しさをさらう空の色は、やがて訪れる満天の星空を期待して、今日、一人で下校した。


学級委員の務めは無事終わった。


彼女、出来るだけ速く「恋慕の情」を昇華出来るとボク的には嬉しい。伝えなかったが、ソレは面と向かって意識されると「彼女」を余計に落胆させると想ったから。


本当は彼女が『1番大切な人』という事実。



失恋もさせなかった、酷い扱いはボクが後悔しない様にだから・・・


「ボクの1番大切なヒト」のポジションを、何があっても、諦めないで欲しい。我が儘だ。

ボクへの恋情を昇華した彼女と並ぶ姿を想像する。


それは「他人の不幸は蜜の味」ではなく「友達の幸運は蜜の味」だけども・・・


何時の日か彼氏を紹介されるだろう。何時の日か結婚式に招待されるだろう。



その時に、ボクが1番ではなくなった彼女の彼氏に「嫉妬」するのかもな。「我が儘」な話だ。



「守りたい」

二人の少女を、ボクは無くしたくない。二股というのだろうか?


どちらも各々の個性にあった方法で

「大切な存在」に昇華される事を祈る。


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