第2話 はつ恋 【瑛一 side】



顔を見て、声を聴いて、ボクは彼女は「幼い日、一緒に、警察に助けられた少女」だと確信した。


今まで味わった事の無い、ノンアルコールのカシスオレンジを口に喰らったかの様な気持ちで、呼吸が速くなった。


だりあなら気がついてしまうくらい、狼狽えた。


信じられない事に血液が異常な速さで身体中を駆け巡る。


転校生は面影を残しながらも、美少女に育っていた。



彼女の席は

結局、窓ぎわの後ろの席になったのだが。


隣で席をくっつけて、教科書を見せてるヤツ(女子)に嫌な想いをした。


ボクは何様なんだ。

と、自嘲した。


何故だか(だりあは名字で気づいたのだろう?)変な顔してボクを見ていた。


お互い「冷静沈着」なボク達は、酷く焦っていた。



身に入らない授業を無視して昔の事を思い出すことにした。


▼△


埃っぽい洋館の暖炉のある居間で、幼い誘拐された遥が、燃えるモノをくべていた。閉じ込められたかつての自宅に監禁されており、煙突から出る煙で、誰かに見つけてもらう為に。


その煙を見つけたのがボクだった。ただ入るのに使った高窓が一人づつでも届かない。仕方がなく二人で燃えるモノを暖炉にくべた。



暗闇が訪れ、空腹を噛みしめあい、何となく互いに自己紹介をした。ボクが瑛一で少女が遥で同じ歳だとわかった。

二人とも今流行りの特撮ヒーローの戦隊モノがお気に入りだとわかった。ボクはともかく遥はイメージわかなさすぎと二人で笑った。いよいよ燃やすモノがキレた為に、遥がアルバム等の記念品を持ってきた。泣きそうな顔をしていた。でも二人の命の為に、断捨離してくれた。



埃っぽい二人は身を寄せあって、埃が朝日できらきらしてるのを見ていた。「綺麗だね」とボクが呟くと遥はうんと頷いた。


しばらくして、ボク達は警察の人に無事に保護された。


▼△


想い出に浸っていたら、見つかった。いきなり今習いかけの応用問題をあてられ、問題なく黒板に解答を書き終え戻る途中、遥と目があった。


『大丈夫で良かった』

という顔に見えた。



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