冬休み前の昼

「みなさん、こんにちは」


 今日も放送が始まる。


 開校してからかなりの年が過ぎ、いつの間にかこの学校の生徒数はかなり減ってきた。


 職員室から漏れてきた声によると、このまま生徒数が減っていくと数年後には閉校してしまうそうだ。


 生徒数が減るのに伴って放送部の部員も減っていき、今放送しているのは今期ただ1人の部員である1年生だ。


 3年生は何人かいたが、全員が受験のために引退していった。


 残ったこの子もあと2年もすればこの学校から卒業していくのだろうが、その時までこの学校が残っているかもわからない。


 それでも放送を続けているのは伝統を壊さないため、そしてこの学校が好きだからだ。



 今日の放送で流される曲は最近の流行りの曲とこの子が好きな曲、そして昔流した曲から選んだ3曲だ。


 最近は曲のリクエストもなく、彼女で考えて流したり過去に流された曲の記録から取ってきたりしている。


 マイクを切って曲をセットし、ご飯を食べ始める。


 スマホをいじりながら1人で食べている。


 昔は会話をする相手もいたのだが、最近ではいる時の方が珍しくなっている。


 食べ終わった後もスマホで何かを見ながら時間を潰している。


 教室に戻っても一緒に食べる人もいないのだろう。


 そうしている間に曲は進み、放送も終わりに近づいていく。


「これでお昼の放送を終わります。

 今日は冬休み前最後の日です。

 午後からも頑張っていきましょう」


 マイクや機材の電源を落とす。


 昼休みの時間ギリギリまでこの部屋で過ごしたのち、教室へと帰っていった。

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