夏休み前の昼

「みなさん、こんにちは!」


 この学校が開校してから■年が経った。


 初めに入ってきた生徒は全員卒業し、この学校には新しい生徒が毎年たくさん入ってきている。


 今日の放送は夏休み前最後の放送だ。


 今、放送しているのは今年入ってきた新入生の子で、どちらかというと控えめな性格と言える。


 春の終わり頃から放送の担当に入っているので、放送にかなり慣れてきているが、まだまだ未熟な点が多い。


 しかし、様々な種類の音楽を聴く子で、ゲーム音楽からクラシック、果ては民族音楽の知識さえも持っている。


 放送部よりももっといい音楽系の部活もあったはずなのに、この部活を選んでくれたのはとても嬉しい。


 その横にいるこの日の機材担当は2年生の先輩だ。


 この子は初代部長ほど活発ではないけれど、それなりに活発な性格をしている。


 1年生の頃に、ある放送コンテストの朗読部門の各都道府県大会の決勝にまで進んだ凄い子だ。


 他の人の声を聞いて、自分の朗読に足りなかったところを見つけ出すために、積極的に機材担当に入っている。


 さて、今日の放送する曲は夏らしい曲の詰め合わせだ。


 昔から人気な曲や、比較的最近発表された曲、そしてかなりマイナーな曲、曲調も認知度も様々な曲が5曲になっている


 比較的有名な3曲を前半に、残りの2曲を後半に流す予定だ。


 曲を流している間は、雑談しながらお昼ご飯を食べている。


 2人ともご飯を食べ終わると、曲のリクエストの告知をした後に後半の曲を流し始める。


 曲が流れている間に、先輩は発声練習を、後輩は次の時間に提出の課題をしている。


 「これでお昼の放送を終わります。午後からの授業も頑張っていきましょう!」


 先輩はいつもの発声練習を終えた後に部屋を出ていったが、後輩はなかなか出ていかない。


 課題が思うように進まないらしい。


 手元には電子辞書と英語の教科書、そしてノートがある。


 教科書の内容を訳さなければいけないようだ。


 予鈴が鳴り、どうしようも無くなったようでポケットからスマホを取り出して調べて書き写している。


 書き終えると急いで荷物をまとめて部屋から出ていった。


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