記憶を消された少年が、自分だけのお姫様を探すファンタジーロボットバトル

剣と魔法の時代が過ぎ去り、魔力で動く巨大ロボット・EOEが戦場の主役となった時代。

EOEの操縦者を養成する学園に、記憶を失った少年ゼオはいる。

彼にはまっさらな記憶の中で、一つだけ残っている想いがあった。
自分には一生をかけて守り通したいと願った王女がいたはずだ、と。

そうして、彼は本当にいるかどうかも判らない王女を探し始める、が。
世界の平穏を乱す陰謀に巻き込まれていく。

それには彼の消された記憶も大きく関わっていて――。


そこから始まるのはEOEを駆使した大迫力のロボットバトル。

これが作品の見所なんですが、戦闘描写がかっちょいいのはもちろんです。

ロボオタな私の視点だと注目するのは、ロボットがこの世界でどんな思想で設計されたり、運用されたりしてるかっていう、設定の部分だったりするわけですが。(ロボオタあるある)

そのあたりもしっかり作り込まれてフォローされてるので大丈夫。
私と同じ趣味の兄貴たちもきっと満足していただけます。


でもこの作品が優れているのはそこだけじゃないんです。

キャラクターの人間関係も作り込まれてて、人間ドラマもちゃんと楽しめるんですね。
記憶を消された主人公、記憶にわずかに残る自分が守るべき人。

じゃあ、そんな大切な記憶を消したのは誰なのか? どんな理由で?

そこを軸にドラマは展開されていくのですが、真実が明らかになるにつれて、主人公と周りの人物との関係性の見える角度が、ちょっとずつ変わっていきます。

やがて主人公に託された想いに触れたときには、静かな感動を覚えることでしょう。


変則的な構成になっていて、プロローグがかなり長めです。
物語本篇の時代から300年前の前日譚、まだEOEがなく剣と魔法が全てな時代から始まります。

そんな古き良き王道ファンタジー時代から、巨大ロボが闊歩する現代への移り変わりも見所です。

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