記憶を消された少年が、自分だけのお姫様を探すファンタジーロボットバトル
- ★★★ Excellent!!!
剣と魔法の時代が過ぎ去り、魔力で動く巨大ロボット・EOEが戦場の主役となった時代。
EOEの操縦者を養成する学園に、記憶を失った少年ゼオはいる。
彼にはまっさらな記憶の中で、一つだけ残っている想いがあった。
自分には一生をかけて守り通したいと願った王女がいたはずだ、と。
そうして、彼は本当にいるかどうかも判らない王女を探し始める、が。
世界の平穏を乱す陰謀に巻き込まれていく。
それには彼の消された記憶も大きく関わっていて――。
そこから始まるのはEOEを駆使した大迫力のロボットバトル。
これが作品の見所なんですが、戦闘描写がかっちょいいのはもちろんです。
ロボオタな私の視点だと注目するのは、ロボットがこの世界でどんな思想で設計されたり、運用されたりしてるかっていう、設定の部分だったりするわけですが。(ロボオタあるある)
そのあたりもしっかり作り込まれてフォローされてるので大丈夫。
私と同じ趣味の兄貴たちもきっと満足していただけます。
でもこの作品が優れているのはそこだけじゃないんです。
キャラクターの人間関係も作り込まれてて、人間ドラマもちゃんと楽しめるんですね。
記憶を消された主人公、記憶にわずかに残る自分が守るべき人。
じゃあ、そんな大切な記憶を消したのは誰なのか? どんな理由で?
そこを軸にドラマは展開されていくのですが、真実が明らかになるにつれて、主人公と周りの人物との関係性の見える角度が、ちょっとずつ変わっていきます。
やがて主人公に託された想いに触れたときには、静かな感動を覚えることでしょう。
変則的な構成になっていて、プロローグがかなり長めです。
物語本篇の時代から300年前の前日譚、まだEOEがなく剣と魔法が全てな時代から始まります。
そんな古き良き王道ファンタジー時代から、巨大ロボが闊歩する現代への移り変わりも見所です。