彼らは鬼か、それとも人か。

舞台は鬼の出る日願国。しかしこの物語は、ただの鬼退治ではありません。

ここに出てくる鬼は、いわゆる怪物、妖怪とは異なります。
鬼とは元々人であり、鬼の病に羅漢して狂った人のこと。
そんな鬼を殺す者が鬼宿師、その鬼について研究している者を鬼法師と呼び、対となって「鬼狩り」と呼ばれています。

本作の魅力は何と言っても、“鬼”の設定と、鬼宿師と鬼法師の切っても切れない縁にあります。

一見、気さくで人当たりがよく思える鬼宿師、曼珠。
口が悪いが根は真面目で心優しい鬼法師、桜。

彼らの抱える秘密や事情を知った時、読者は「一体鬼とは何なのか」という問いに直面します。
そして彼らの不思議な縁の行く末を、これからも見届けたくなるはずです。

一風変わった鬼退治の物語。
是非、ご一読下さい。

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