お気に入りの美術館を歩くように、色鮮やかな日々をゆっくりと進んでゆく。

絵画の道を進む青年・彗と、彼と出逢い、寄り添い、見守る主人公・澪の物語です。

繰り返し現れるミモザの花や、数多くの名画、おしゃれな料理などなど、女子なら絶対に惹かれそうなモチーフがバランスよくセンスよく散りばめられています。
まるでお気に入りの美術館をゆったりと歩くような。
カフェで、あるいは自宅で、好きな小物や食べ物に囲まれて幸せを感じるときのような。

そんな世界の中心で、彗への思い、自分の進む道を懸命に模索し続け、前へ前へと進んでいく澪の姿には、誰しも共感・感情移入してしまいます。
大きな夢に向かって羽ばたいていく彗と共に歩むには、澪自身も大きく変わらなければならない。
決して簡単には選択できない生き方ですが、澪のキャラクターが読者に「つらさ・大変さ」よりも素敵なものをたくさん届けてくれるのです。

一日一日を、一筆一筆、自分らしい色を置くように過ごす。
そうしていつか、自分に誇れるような絵が完成しているといいな……と、本作を読んでいて思いました。

あなたは、この作品にどんな絵を思い浮かべますか?

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