タンデムジャンプは片道切符。どうか後悔のない選択を。
- ★★★ Excellent!!!
空に大地が浮かぶ地球のような世界を舞台に、機械を食べる化け物が住んでいる空をダイブ!最初に設定を読んだ時に目が眩みました。かっこよすぎる……!
今回のバディは運び屋。天空都市彩雲から地上へ運ぶものは、人。天空鬼の出現で地上と彩雲の行き来が困難になってしまった今、地上へ戻りたいと願う依頼人を送り届けられるのは彼らだけ。
だけど、タンデムジャンプは片道切符。彩雲よりも地上が素晴らしい場所とは限らない。戻ることはもちろんできないし、道中には機械も人間も食らう天空鬼が犇めく。文字通り決死の覚悟で臨まなければならない。だからこそ、後悔のない選択をしてほしい。飛ぶもよし、飛ばぬもよし。それを決めるのは依頼人だ。
タイトルにも「ノーリグレット」とあるように、作品を通して「後悔」というワードを一つのテーマにされてる。相棒から「後戻り野郎」と言われるほど小さなことで後悔ばかりしているタイクウ。彼が言う「後悔」が何を差すのか、物語のラストで明らかになります。
そしてタイクウのバディであるヒダカの空中戦闘がとにかくカッコいい。ダイブしている最中だからスピード感もあるし、虎の子の一発であるビームも最高。何よりこの空中戦を違和感なく書き上げられる作者様の力量に脱帽。すごいものを見せていただきました。
これは個人的な解釈ですが、物語を読み進める時の感情の揺れ方が少し特殊な印象を受けました。序盤は世界観に対するワクワク、中盤は依頼人とバディの人間性にドキドキ、そして目玉でもあるタンデムジャンプにハラハラ。このハラハラが本来クライマックスのはずなのです。ですが、物語は依頼人を地上に送り届けて終わりではありません。二人はまた彩雲へ帰らないといけないのです。ここからラストにかけての切なさが秀逸でした。あまり感じたことのない感情のジェットコースターに素直に感動しました。読めばわかる。読まねばわからぬこの感覚。
推しメンコンテスト受付最終日に素敵なバディと出会えたことに感謝を。素晴らしい作品をありがとうございました!スタイリッシュでエモい、おススメの推しメン作品です。ぜひご一読ください!