愛しいのは人と念……。お互いに寄り添える優しい持ち主もいます。

御作の完結を前にレビューを失礼いたします。

多くの方のお目に留まれば嬉しい限りです。

激しいネタバレは避けますが、ある程度のことは、これからお楽しみいただく為にご紹介させてくださいね。

初めましての方もまたお邪魔しますの方もいらっしゃいませ。

本作は、『共鳴糸エンゲージメント 〜なごや幻影奇想メモワール〜』として、自立した作品として拝読できるように作者様もとてもお気を配られております。

繋がりのある作品として、前作、『共感応トワイライト 〜なごや幻影奇想ファイル〜』があります。

こちら前作の目次を拝見いたしますと、以下のようになっております。

「#1 かくれんぼ」
「幕間」
「#2 かごめかごめ」
「#3 あめふり」
「#4 指切り」
「エピローグ」

四章仕立ての物語シリーズ第一作目となっております。

とても意欲的で、構成がしっかりしております。

本作も四章仕立てとなっております。

後程完結いたしますので、現状(2023年1月5日現在です)の章を拝見いたしますと、以下のようになっております。

「#1 髪の伸びる市松人形」
「幕間」
「#2 強欲の壺」
「#3 夢みる万華鏡」
「#4 約束のブローチ」

短編連作には強味もあると思います。

ある一定の分量を読み切ると栞を挟みたくなり、ほっとできる。

本作も時にカタルシスや、あたたかい人との絆に胸を詰まらせる思いをしました。

お恥ずかしながら、哀しみにまみれたお話も沢山ありました。

ハンカチ必携ですね。

お馴染みの登場人物、服部少年(服部朔:はっとり・はじめ)、樹神先生(樹神皓志郎:こだま・こうしろう)、百花(もか)さんのそれぞれを追うことができ、満腹ですよね。

前作と本作には、様々に異なった点があると思うのですが、どうやら、今回は、『市松人形』や『壺』に『万華鏡』など、実際にあるモノに宿った念が辿るべく道を選んで樹神探偵事務所に届きました。

付喪神だろうとの推理が働いたのですが、さて、どうなのでしょうか。

今回、懐古堂のカイコさんが登場して、不思議さを増している感じがいたしました。

自在に性別や姿を変える所や笑い方におねだりと、個性豊かな素振りに、ニューフェイスとして合格です。

樹神先生にとっては、以前からいらっしゃった方なのですがね。

推しキャラは、百花さんです。

難しい過去を抱えて、それでも大人の配慮を携えて生きている様に共感いたします。

私の霊感で宥められたらいいのにと思いますが、余計なこととは思います。

それから、お国言葉も楽しめますよ。

ある程度拝読いたしますと、それが自然体で素晴らしいと思うのです。

また、美味しいお決まりのご飯などを召し上がるシーンも上手い所に挟んであり、必然性があっていただいているのですが、遅い時間に拝読させていただいており、お腹が空いて堪らなかった思いをしました。

ああ、なごや飯は、いじめっ子ですね。

各々の登場人物や小道具をイメージされた作者様が自ずからお描きになる挿絵、口絵が素晴らしく、そこにも惚れこみました。

お忙しい中、このように完璧な作品を書かれる作者様の意欲に感嘆いたします。

素敵な皆さんと、夢の中でお会いできないかな。

初夢過ぎてますけれども、だって、愛おしいから。

新たな世界へ、ようこそお越しください。

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