第9話
「そんな無茶苦茶な……」
「まぁ確かに、少し無茶かもしれんのぉ……」
老人はカラカラと笑う。
「少し前の仮面ラ〇ダーには、祖父から会社を引き継いで社長件仮面ラ〇ダーで、アンドロイドの秘書がいる作品があったと言うではないか……」
そう言うと、盆の上に配膳された和食の小鉢に箸を付けた。
何故にゼ〇ワン? 付け加えるなら、社長の前職は売れないお笑い芸人だ。
「だから秘書みたいな一時的な存在じゃなくて、一生を連れ添ってくれるような伴侶を与えてくれるって言う訳ですか……」
「まぁそう言う訳だ……」
そう言って湯呑みに入った熱い緑茶で喉を潤した。
「それでお前はどんな女が好みかと思ってな……因みにワシはケツのデカい女だ」
急に
「胸がデカくて顔と性格のいい女!!」
――――と素直に言えればいいのだが、生憎とそう言った事を血縁者に語る程の度胸は持ち合わせていない。
「特には……巨乳も貧乳も好きだし……金髪碧眼もすきだし黒髪美人も好き……雑食なんだよ俺……」
――――と無難な回答に逃げる事にした。
「それは良かった。見合いなんだが日本国内では良家の子女のほとんどはもう相手がいる状態でな海外はどうか? と考えておったのだ……」
……どうやら地雷を見事に踏み抜いてしまったようだ。
「Oh……」
「フランスかスイス、イギリス貴族を考えているんだがどうだろうか?」
どうだろうかと言われても、正直に言えば困るとしか言えない。
「英語はライティングが出来るだけだから、外国人って言うのは少し心配かな……」
更に難題を貸す事で逃げる事を試みる。
「確かに相手の国の言葉を理解できる方が良いだろう……そうすると貴族とは婚姻が難しくなるが構わないか?」
「もちろん。だって俺は一般庶民なんだから婚約者だって、別に要らないって思ってるぐらいなんだし」
「確かに今までのセカイではそうだっただろうが……コレからのお前は生きていくセカイが文字通り違う。今の価値観を捨てろとは言わないが……現代の貴族の価値観を理解しろとだけは言っておこう……」
歩み寄ろうとはしてくれているみたいだけど……まだまだ歩み寄り方が足りない。
「じゃぁ候補者ぐらいには会うよ。許嫁や婚約者を作らないお家もあるんでしょ?」
「確かに最近は増えて来たな……」
「俺も爺ちゃんに歩み寄る。だから爺ちゃんも俺に歩み寄ってくれないか?」
勝手に許嫁など決められては溜まったもんじゃない。
「分かった。ワシも精いっぱい歩み寄ろう……」
「ありがとう爺ちゃん……」
「お前の進学先だがな……静岡にある私立峰ヶ岬学園付属高校に行ってもらう」
「峰ヶ岬学園付属高校って言うと、偏差値のクソ高い私立高校で有名なところじゃん」
「あの学校はこの10年スポーツを始めとする全てに力を入れており、「ジェネラリストよりスペシャリスト」と言う看板を掲げ各界の第一線で活躍する。人材排出を目標とした男女共学の総合学園へになっており現代の貴族の子女を教育している。ワシもそのスポンサーの一人だ。」
続けて祖父はこう言った。
「入学は決まっている遊び歩けとは言わないが、ワシが負担をかけているのは事実その詫びだと思ってくれ……岐阜には別荘がある学園にはそこから通えばよかろう……婚約者は学園在学中に決めればいい」
「ありがとう」
「礼などいい。年頃の男子が何を喜ぶのかわかなかったから、お前の口座に1000万入金した無駄遣いだけはするなよ」
「あ、ありがとう……」
一千万と言う法外にも思える金額に、俺はたじたじになってしまう……
こうして俺は、生まれてこの方。ただの一度たりとも顔を合わせたことのなかった祖父と遭ったのである。
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【あとがき】
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コンセプトはギャグ(パロディ)×ラブコメです。
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