知らなかったけどどうやら俺には、許嫁がいたらしい。でも俺には心に決めた女性がいるので、結婚する気はありません俺の望みは平穏な高校生活だ! だからこんな青春は間違っている!

🔥SOU🔥4月26日より新作7本投稿開始

第1話




マコト、父さんな実は、今までお前に黙っていた事があるんだ……」


 普段の父親とは違い、まるで祖父のような随分と改まった態度で、リビングの椅子(お値段以上な品質)に座した状態でそう言った。

 何というか笑っては行けないのは分かるけど、普段と雰囲気が違い過ぎて笑ってしまいそうになる。


「父さん何? なんかいつもと雰囲気違うけど……」


 俺はいつものテンションを保とうとして、無理に上ずった声でそう言った。

すると――――


「いいから。そこへ座りなさい」


 父は、俺がいつも座っている椅子の場所を、トントンと指さして座るように促した。

 いつもなら、「お茶がほしいって合図? もしかして花京院かきょういんのマネか?」と返すところだが、異様な雰囲気を感じ取っていた俺は、そんな空気の読めない可哀そうな子みたいな発言は言わずに、無言で椅子に座った。


 ……気まずい。

 まるでそんなにあった事のない、親戚の葬式に招かれた時みたいだ。

 俺の脳裏をよぎったのは、世界的な名作のワンシーンだった、


「ごめんなさい。こういうときどんな顔すればいいかわからないの。」


「笑えばいいと思うよ。」


 ――――と脳内で、母親のクローンにリリ 綾 波 スの魂が宿った女の子 レ イ ネオンジェネシスしたリリン擬きシンジが、名場面の掛け合いエチュードを繰り広げ俺の脳内は混沌を極めていた。


 不味い……思考回路が彼方此方あちらこちら右往左往うおうさおう、完全に迷子になっている。

 どれだけ俺は今この瞬間現実から、逃げたがっているんだ……

と変に冷静になってしまい、冷静な自己分析が出来ている。


 そして、その静寂を破ったのは父だった。


「父さん、話があるんだ。実はお前に黙っていた事があるんだ、お前も薄々気が付いていたかもしれないが実は……」


 え? どっち系の話? 実は……の後って無限に変化球ある。

「好きな人がいるんだ」とかその亜種の「再婚するんだ」とか、「お前の本当の父親ではないんだ、実は取り違た子供で……」見たいな、今流行の恋愛漫画カッコウ的展開とか……

 「お前に許嫁がいる事を黙ってたんだ」とか、「実は父さんりゅう〇ぇる父親を辞めたいんだ」とか……今直ぐパッと思いつくその後の言葉だけでも、数種類は出て来るんだどれが来ても可笑しくない。

身構えておかないと……そして父さんのためにも同様した素振りは見せないようにしないと……


 この間僅か0.5秒!!


 誠の脳内は過去最高に加速バースト・リンクしていた。


「お前に黙っていた事があるんだ……」


 ループしたぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!


 ボケ老人とか、学校の校長みたいに、今さっき話した話題を忘れたかのようにループした。


 もしかして俺は、世界線ワールドラインを越えたのか?


 誰かが今まさに丁度、電話レンジ(仮)で、Ⅾメールを送信したのだろうか? などと、名作のセリフに逃げてしまう。「何かが起こるとネタに繋げてしまう……私の悪い癖です……」と、心の中の外星人第0号メフィラス星人がそんな言葉を発した。


「実は……父さんな、好きな人が出来て結婚する事になったんだ」


「それは素直におめでとう……」


 俺は思わずぶっきらぼうな声音で答えてしまった。


 想定していた話題の中で一番現実味があって、危険球デッドボールじゃない話題で良かった。

 ――――と思う反面、相手がどんな方なのか分からないので、諸手を上げて大歓迎とは言えない。

 例えば相手が夜のお仕事であれば、幾ら職業に貴賤はないと言う建前とはいえ、万人に喜ばれる仕事ではないし、逆に今年50幾つの男が20代と言う息子とそう変わらない年齢の女性を掴まえて来たら、犯罪ではないモノの無性にロリコンコールをしたくなる。


 そう言う、年頃の青少年の複雑な心境も理解して欲しいとまでは言わないが、忘れて欲しくない。


「実は話しておかないといけない事があってな……」


 ホラ来た。追加効果発動! と言った所か……という事は、さっきの「好きな人が出来たんだ」発言は、トラップカードだったと言う訳か……


「実は父さん。母さんの家に婿として入ったんだ……だから旧姓は、天宮あまみやと言って、お前も聞いたことがあるだろう? 市の名前にも成っている世界有数の財閥の長男だったんだ」


 え? 初めて聞いたんだけど……確かに父さんの親戚と会うときは身なりのいい人が多かったし、お年玉もアホほどくれた。

 子供に平気で5万とか10万をポン渡すんだぜ? 中小企業の社長とか役員だと思っていたけど、財閥のボンボンだったて訳か……


「それで……俺の父……お前の祖父が相手の女性ヒトの取引先で偶然バレてしまってね……生い先短い老人としてお前に贈り物をしたいそうでな……お前に許嫁が出来ることになった」


「ファ!?」


 今まで脳内以外では、静だった俺もその予想外の二段構えに驚いて声を上げてしまった。

 人間って本当に驚くと2ch民みたいな声出すんだな……


「俺の自由と意思はどこに行った?」


 父は眼鏡(最近かけ始めた老眼鏡? 二本で五千円)をクイと上げて、蛍光灯に反射させこういった。


「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」


 俺は低身の兄と鎧の身体の弟が主人公の国家錬金術師かよ! 


「……まぁ許嫁とは言っても、彼女かっこ仮ぐらいなものだから、深く気にしなくていい」


 俺は許嫁なんて、言う家制度にこだわった古い価値観に縛られている人種とは、関わってこなかったからいまいちピンと来ない。

 それを昔流行った。ソーシャルゲームのタイトル風に弄って来るのだ。鳶が鷹を生むと言う訳ではないが、所詮価値観の形成が旧人類オールドタイプって訳か……


「はぁ……」


「まぁ新しい義母はは親に、祖父に、婚約者との顔合わせのセッティングはもう済んでいる。あとはお前が行くだけだ」


「なんで相談もなく決めるかなぁ……」


 それはセッティングとは言わない。ただ単に退路を断っただけだ。

 どうせ、俺が結婚に反対しようとも「まぁそう言わずに、会うだけでいいんだ」とでも言い、何かと理由を付けて面談には持っていくつもりでセッティングしていたのだろう……


「世の中には逆らえない潮流というものがあるんだ」


「俺にその潮流を運んできた人間に言わても……」


「まぁそう言う事だ。受験生にガタガタ言って悪かったな……」


 ――――と少しだけ反省の色を覗かせた。


「本当だよ全く。中学3年の何も11月このじきにそう言う事言わなくてもいいだろう?」


 俺は少し嫌味を言った。


「すまんな。今日は遅くに付き合わせて悪かった……明日も学校があるから早く寝なさい」


「へいへい」と、俺は生返事をして二階へと続く階段を昇り、MAKOTOと小洒落たフォントの筆記体で書かれた。やけにカラフルなネームプレートが掛けられた自室のドアを開けると、ベッドに倒れる様に横たわった。


 俺……相手にどんな顔して会えばいいのか分からないよ!


 心の中のガキがこう言った「笑えばいいと思うよ……」


「うるせぇ! よッ!」


 俺は枕を放り投げた。




============


【あとがき】


 初めましての方も、前作から来ていただいた方も、先ずは読んでいただきありがとうございます。思いつきで書いた作品なので面白ければ応援してやってください。


 コンセプトはギャグ(パロディ)×ラブコメです。


 応援いただけるぜひ方は【作品フォロー】と【作者フォロー】の方をよろしくお願いします! 更新された時に通知が行くようになります。


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12月に新作を上げますのでそちらの方もお楽しみに……


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そうぞ、よしくお願い致します。m(__)m

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