第8話
新しい家族の顔合わせから数日後。
時はクリスマス。神の子の誕生日だか復活祭だかは知らないが、現代日本においては、恋人と性の八時間を営む愛の日として認識されている。
我々非リアにとっては、忌むべき二日間である。
数年前に現上皇陛下の退位に伴い。学生がクリスマスを休み恋人と遊ぶための定番であった。この天皇誕生日と言う日はごく普通の平日へと格下げされ、今平成の頃の作品を見ると、クリスマス付近が休みになっていることに対して、強烈な違和感を覚えるものだが、クリスマスが創立記念日の学校を舞台にしていたア〇ガミSSは、中々合理的な作品であったと言えるのかもしれない。
リムジンがゆっくりと停止し運転手が「お待たせしました。」と、倍以上も年の離れた俺に敬語で恭しく到着を告げた。
「はぁ~、どうもありがとうございます」
どうにもその低姿勢な態度に恐縮してしまい。口調がおかしくなってしまう。
車から降りる。
眼前には、明らかに高そうな和風の建築物であり何とも学ランでは場違いな雰囲気を感じる。
まぁ、大正浪漫的には強ち間違った取り合わせでは無い気もするのでヨシ! としよう。
中部地方から東京までの高速道路の長い時間。リムジンの革張りシートで身体はどうしても縮こまっていたが、実際体感しているよりは体は疲れを感じていないようだ。
車内には小型のディスプレイモニターや、小型ではあるものの冷蔵庫があったので、数時間の車内でも比較的退屈はせずに済んだ。
そんなことを考えていると……
「マコト様、こちらへどうぞ……」
運転手さんに促されるままに、料亭と言うべき建造物の中へ俺は入って行った。
現在俺がいるのは、高そうなテレビの中の料亭と呼ぶべき和室だった。
カコンと
実に風流で趣がある。
そんな事を考えながら、運ばれてきている前菜のような料理に手を付ける事無く、熱い緑茶を啜っていた。
普段飲んでいる緑茶と違い、品のいい甘味と心地のいい苦みがあり、旨味と言うのか……何か深みが違う。
障子が開いて茶褐色の和服を着た老人が、若い女の秘書と男を連れてやって来た。
「遅れてすまなかったな……」
そう言って謝罪したのは和装の老人だった。
「いえ。お忙しいでしょうから……」
俺は老人の謝罪を受け入れる発言をした。
「会長それでは……」
すると秘書と思われる男女は、障子を開けて部屋を後にした。
「アレはワシの秘書でな、折角だから隣の部屋でメシを食べさせることにしたんだ。別に
「は、はぁ……」
「オホン。初めましてと言うべきか……教科書や新聞、TV等でワシの顔ぐらいは見た事があるだろうが、改めて自己紹介をする。ワシは天宮
天宮財閥のトップにして、この
優し気な雰囲気と表情だった老人――――天宮大蔵の眼光は「カッ!」っと見開かれ、まるで野生の猛獣のような凄まじい眼圧を感じて、思わず圧倒される。
これが日本の経済界で、世界と互角以上に戦って来た古強者……
俺は予想外の迫力に生唾をゴクリと飲み込んだ。
しかし、この程度のプレッシャーでモノが言えなくなるようでは、この人にはもう二度と意見する事は出来なくなるだろう……
俺は意を決して緊張で乾く喉で声を絞り出した。
「俺に継がせる必要はないんじゃないですか?」
「……」
まさか返答を返す事が出来るとは、夢にも思っていなかったのだろう。
一瞬だけだが、驚きや戸惑いと言った表情を見せるが、直ぐに興味を持った表情に切り替わった。
「俺は政治にも経済にも疎い……そんな俺に後を継がせる必要がありますか?」
「今まで会った事はなかったが、何度か探偵やうちの社員を尾行に付けてお前の様子を伺っていた……まともな人間とは到底言えない言動が多々見受けられるとの報告であったが、反面 所々で光る部分があると報告書を読んでそう思えた。
貴様の父よりも昔のワシにそっくりだと思った。
だからお前に贈れる者は何かと考えた、それがワシの後継者としての地位だっただけの事……」
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【あとがき】
初めましての方も、前作から来ていただいた方も、先ずは読んでいただきありがとうございます。思いつきで書いた作品なので面白ければ応援してやってください。
コンセプトはギャグ(パロディ)×ラブコメです。
応援いただけるぜひ方は【作品フォロー】と【作者フォロー】の方をよろしくお願いします! 更新された時に通知が行くようになります。
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12月に新作を上げますのでそちらの方もお楽しみに……
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作者のモチベーションが上がって最高の応援となります!
そうぞ、よしくお願い致します。m(__)m
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