【第一部完】好きな幼馴染がバスケ部OBのチャラ男に寝取られたので、逃げ出したくて見返したくて猛勉強して難関私立に合格しました。「父さん再婚したいんだ」「別にいいけど……」継母の娘は超絶美少女でした
🔥SOU🍨🔥12月06日より新作投稿開🐳
第一章
ギリの家族邂逅編
第1話プロローグ
『おはようございます。只今、朝七時をお知らせします。』
広々としたオープンキッチンで忙しなく動く青年は、「朝食に包丁を使わない」をポリシーに掲げ、朝食の支度を一人でしていた。
たっぷりのバターが溶けたフライパンからは、朝の空腹を刺激する心地良い香りが立ち、流し込まれる溶かれた卵液の音すら美味しく感じられる。
手早くオムレッツを作る手際は、もはや主婦顔負けですらある。
その横のコンロでは手際よく味噌汁を作っているようだ。
「これで昨日切って置いたサラダを冷蔵庫から出して、
冷凍食品と作り置きのおかずを小分けにするギザギザとしたプラスチック製の入れ物に手早く詰め
そんなことをしていると、最近買い替えたばかりの5.5合炊きの炊飯器が米が炊けたことを知らせてくれる。
炊けたばかりの米をしゃもじで切るように解すと、弁当箱に米をよそいフタを開けたままにしておく……
ふわっふわのオムレツとハム、剝いて塩水に放したリンゴ、サラダ、ヨーグルトを木製のワンプレートに綺麗に盛り付け、未だ自室から出てこない
わざと足音を鳴らすのは「早く起きろ」というプレッシャーをかけるためだ。
二階の扉に掛かる可愛らしいネームプレートには、達筆な筆記体で『Natuki』と記されている。
ついこの前までは客間……と言う名前の荷物置きだったというのに……
「ふぅ……」
緊張感から深い、深い呼吸の後、手の甲で『コンコン』とドアを叩いた。
「な、菜月さん? 朝ですよ起きてください!
そろそろ起きないと遅刻しちゃいますよ!」
まだ呼びなれない彼女の名前が喉に引っかかる。
「んぅ~~っ」
帰ってくる返事はまだ眠そうな寝言。
この凡そひと月で理解し、確信したことがある。
彼女……
「すいません、入りますよ……」
申し訳程度の小声で断りを入れ、部屋に入る――――
以前、不可抗力で部屋に入った時、怒鳴られ叱られたことを思い出すと、あの時の言いようのない恐怖心が滲み出てくるが、起こさなかったら起こさなかったで怒られることは確定している。
ならばせめて役得がある方を選ぼうとするのは、年頃の男子としては当然の帰結である。
――――入室すると客間の頃にはなかった、甘い女の子特有の匂いが部屋中に充満している。この空気を何かに詰め、彼女に恋焦がれる同級生に売り付ければ500円は固いだろう。
いかんいかん。年頃の男子に女の子の香りは毒ガスと同じだ。頭を振ると、脳内で不動明王の真言を唱え煩悩を振り払う。
「か、換気すれば何とかなる……」
パステルカラーのカーテンを開け、ついでに窓も開ける。
朝の冷え澄んだ空気が流れ込み、布団を被った少女は眩しさからか布団を頭まで上げる……
「んぅ~~っ」
「
「あと、さんじゅっぷん~」
「30分もしたら遅刻しますよ? 今だって身だしなみを整える時間が無いっていうのに……」
「らいじょうぶらいじょうぶ、わたしびしょうじょだから……」
「どこの自称も他称も最強の呪術師なんですか? いいから起きる!」
語気を強め、えいっと布団を剥ぐ……
多分寝苦しかったのだろう、可愛らしい寝間着のボタンは胸元までがっつりと外れ、500円/袋は固いパフュームの、そのたわわな発生源が下着と共に目に入る。
俺は朝から何を見させられているのだろうか?
一旦は薄くなったフレグランスも布団を剥いだ勢いで補充され、何というか青少年の健全な育成には害となるレベルだった。
「あ、かたもりくん。おはよー」
まだ寝ぼけているのかこの
「おはよう菜月さん、朝ごはんできてるから早く降りて来てね」
「ありがとー、お水飲んだらおりるねー」
目覚めの悪い
数秒後。
予想通り悲鳴が聞こえて来た。
(近所の皆さんごめんなさい。犬か鶏が鳴いたと思ってください)
………
……
…
『今日の天気は晴れ時々曇り、ところによってにわか雨が降るかも……それじゃぁ星座占いの時間です』
プチン。リモコンを持った
暗くなったテレビに映る
「………………」
多少の気まずさがダンスを踊るリビングに、俺の特製ソースの掛かったふわトロのオムレツを咀嚼する音だけが響く。
うん! クラマ〇ートマトジュースがいい仕事をしてますな~。ケチャップを補強し、バターの風味も良く効いていて旨い。
ジュースが日持ちしないから、明日はトマトと卵の中華炒め物の
「……自分で起きるって言ってるに」
どうやらこの寝坊すけ姫様は、俺に起こされたことに対して拗ねているようだ。
「前にも言ったけど、カーテンを自動開閉する機械あるからそれを買うといいよ。あと時間で付く照明も」
「高いじゃない……熱っ! ってか苦っ!」
猫舌と子供舌が同時発動し、口がいーって形で少し舌を出した様子を挟みながら、俺が淹れたコーヒーをチビチビと飲んでいる。
顔つきが綺麗なためこういう仕草をされるとギャップがえぐい。
「まぁね。でも一人で起きれるよ? 早起きは三文の得って言うじゃない?
あ、でも三文って価値や程度が低い事を表すのに使う言葉よね。
ほら三文小説、三文芝居、二束三文とか言うじゃない?
現在の価値で30~36円かぁ……うん、やっぱり大したことないよ」
流石学年主席、無駄に教養溢れる言葉ありがとうございます。
ってかそういうのは自分で朝起きれるようになってから言えよ!
「へいへいさいですか……」
「私、汗流してくるから水道は使わないでよね?」
「分かってる……」
家の水道は流しと風呂で湯を併用すると、稀に冷水が出るという構造上の問題がある。以前それを知らなかった俺がやらかし、風呂場から悲鳴が聞こえたことがあるのだ。
しかし、朝風呂して学校に間に合うかはまた別の問題なのだが………
洗い物が出来なくなった食器をまとめながら、なぜこんな事になったのか、ちょっと遡って事態を確認してみる。
あれは確か………数か月前のことである……
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『あとがき』
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【小市民な悪役貴族によるスマート領地経営~悪の帝国の公爵家に転生した俺は相伝魔法【召喚魔法】で最強になる。やがて万魔の主と呼ばれる俺は、転生知識で領地を改革し破滅の未来を回避する~】
https://kakuyomu.jp/works/16817330657377741600/episodes/16817330657377743847
執筆時期としては悪役貴族が後になるので完成度は高いと思います
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