第6話



「提案? 具体的に何をするつもりだ?」


俺は恐る恐る尋ねた。


「私は……いえ。私達は母に今まで多くの負担をかけてしまっています……」


 それはそうだろう。いくら稼ぎがいい女社長とはいえその身体は一つだ。家事に育児に仕事と大変な思いで働いて来ただろう……俺もそうだ。父には今まで多くの負担をかけてきた。

 父のためになるのなら、俺は高校三年間はドブに捨てる気持ちで、一度もあった事のない祖父が紹介する婚約とやらとニセの婚約関係を結ぶと決めていた。

 きっと似たような気持ちを彼女も持っているのだろう……


「だから負担になりたくない。か……」


「その通りです。二人の家族のためにニセの兄弟になりましょう……」


「そうするしかないか……」


俺達は硬く握手をしてお互いの目的のために最大限努力する事を決めた。





レストランに戻ると、皆が楽しそうに歓談をしていた。

既に前菜の乗った皿が届いていて、父母は楽しそうにワインの入ったグラスを傾けている。


今なら戻っても深くツッコまれる事はないだろう。


俺とミクは二人で顔を見合わせて、お互いに頷くと何事もなかったように振る舞って家族の元へ戻ることにした。


始めに俺達二人に気がついたのは、長女の稲生みおりだった。


「あれ二人とも戻って来た」


そう言うと空いている席を指さして、「さぁ座って座って……」と言って促した。


「随分と話込んでいたようだな……聞いたぞ 次女のミクちゃんとはクラスメイトだそうだな。今日初めて知ったよ……」


そう言って父は額に浮かんだ脂汗を、パタパタと粉でも叩くようにハンカチで拭うと合図を送って来た。


「バレテルノカ?」


俺は手を一回閉じて「肯定」合図を送り、続けて親指を立て「問題ない」と付け加えた。

父さんは胸をホッと撫でおろした様子だ。


「それでは自己紹介をしましょうか?」


と長女の稲生みおりが提案した。流石、冠ラジオを持っているだけあって、トークも司会進行能力もズバ抜けていらっしゃる。


「では先ず私から……成瀬 澪璃みおり高校1年で声優やってます」


苗字以外本名だったのか……昔は本名で声優や俳優などの役者業をやる方もいたが、今は芸名が多いので正直言えば意外だった。


「ははははっははッ! 驚いて声も出ないか……」


などと父さんは言っているが、フリーズしているだけだ。


「ファンです! サイン下さい」


その瞬間俺は声ブタへと変化していた。


「キモ」


ボソリと呟くような声でミクがそう言ったのを聞き逃さなかった。


「あはははは。ファンって言ってもらえるのは嬉しいな。ミクはまぁいいとして次はつむぎ挨拶して……」


ミオリさんがそう言うと、勝ち気そうな少女は丁寧に挨拶をした。


「三女で中学二年の成瀬紬です。アンタを認めるつもりはないけど、お母さんのために我慢してあげる。私達にヘンな事したらモグから……」


「あはははナイスジョーク」


俺は張り付けたような笑みを浮かべて、三女の紬の言葉を聞きながす。


キっツ。この女性ヒト性格キっツぅ~~ッ。




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【あとがき】


 初めましての方も、前作から来ていただいた方も、先ずは読んでいただきありがとうございます。思いつきで書いた作品なので面白ければ応援してやってください。


 コンセプトはギャグ(パロディ)×ラブコメです。


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