圧巻の政治エンタメ!!!

地方選挙に立候補された経験のある著者がその知識と経験を存分に活かして書かれた圧巻の政治エンタメ作品。

多分、読者が想像している以上に“政治”している。
どれくらい政治しているかと言うと、選挙制度や法律の条文がガンガン出てきて、それで問題を解決していく。

制度面の知識もさることながら、そこからさらに一歩踏み込んだ「象徴首長制」というオリジナルの概念も作中で提唱される。
もはや小説の域を超えているとすら思ってしまう。
この概念一本で書籍に出来るのでは……。


これだけ聞くと堅苦しいお仕事小説のようだが、本作のもう一つの魅力はご当地ヒーローを始めとしたキャッチーな特撮要素。
一度でも特撮に惹かれたことのある人間なら、思わずニヤッとしてしまう胸熱なガジェットやマシンがたくさん登場する。
加えて、一癖も二癖もあるキャラクターもすごく魅力的で、登場人物全員を好きになること間違いなし。


物語後半は「これだよこれ!」というような、王道ながら熱中してしまうエンタメ展開で、最初から最後まで飽きずに読了することが出来た。

もし、紙の書籍で本作が売ってたとしてもSNSで絶賛コメントを残してたと思います。
それくらい、専門知識とフィクションの混ぜ方が上手くてプロの作家かと思いました。

20万文字近い長編で、web小説らしくない作品かもしれないですが、本当に読んで損がない一作です。

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