花咲爺伝承を下敷きにまとめあげられた美しい物語

戦争帰りの金朗が、それより200年も昔に飢饉によって身売りされた末に殺された亡霊と出会う。こう書いてしまうとどこか薄暗く聞こえるかもしれないが、これは紛うことなき恋愛の物語だ。
実際に日本であったかもしれないと思わせることを背景に、二人の心の動きを繊細にまとめ上げる。ここに作者の力量を見た。
難しそうに思えるかもしれないが、そんなことはない。ぜひ一度でも二度でも読んで、この作品に没頭してほしい。

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