ピカレスクがうずいてる

 ※JPをjpに修正しました

作中でリスペクトされている「スペースコブラ」や「カーボーイビバップ」を観たことがなくとも、銃弾をかいくぐりながら、にやりと不敵に笑って駈け抜けていくルパン三世の姿なら、OPの曲と共にほとんどの人が知っている。

「俺の名はルパン三世」

 札束の風呂に飛び込み、宝飾を盗み、「待て~ルパ~ン」と追いかけて来るよれよれトレンチコートの銭形と、「ルパン♡またね」投げキッスを寄こす峰不二子。早撃ちガンマンの次元大介と居合の達人石川五右ェ門が脇を固めてワンセット。
 お馴染みの仲間とともに暴れまわって一話で完結していく軽妙さは、時としてシリアス、時としてコメディ、いろんな要素が毎回楽しく詰まっていた。

 そんな感じの、からっとしたピカレスクものが大好きだ。「ゴルゴ13」ほどハード過ぎず、「名探偵コナン」ほど全年齢向けではなく、ほどほどにだらしなくて不道徳で酒やヤクザも出てくるが、全体的に元気で明るい。
 自己肯定感と向上心に満ちた活きのいい若者が街を走り回ってくれるだけで、わくわくしてくる。
 ちょい悪だが気のいい奴、映画ならば2009年「スター・トレック」のジェームズ・T・カーク、2014年「キングスマン」のエグジーみたいな若者といえば伝わるだろうか?

 『幻肢のシェライバー』
 そんな冒険小説ときたら、もう読むしかない。
 jpと呼ばれる無法都市に生きる「ハナ」という名の若者。女のような名前だが、由来は本文に説明がある。
 この世界では四肢を機械と交換するのが当たり前となっている。
 いいグローブを買うより腕ごとグローブに、バイクに乗るより自分がバイクの部品になっちまえという軽いノリだ。
 冒頭、欲しくて欲しくてたまらないプラモデルを待ち望むようにシェライバーを眺めているハナの様子に男性ならば共感し、一気にハナが好きになるだろう。
 そんな自慢の人工四肢を狙って斬り落とす通り魔がjpに現れた。
 そいつはなんだか昔のサムライの恰好をしているみたい?

 続きは本編で!

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