王道ハイファンタジー+極上の謎=圧倒的な満足感

皆さん、「謎」はお好きですか?私は好きです。
物語に於いては多くの場合、それが伏線として働きます。ふわっと匂わされた謎が気になって読み進め、ひとつほどける度に、よりその物語を好きになる…読み物では、それが理想的な形かと思います。

この物語の最大の魅力、それがまさに謎なんです。登場人物の出自、背景や過去、ひいては世界の仕組みに至るまで…実に多種多様な謎が、物語のあちこちにちりばめられています。正直、この謎がある程度解明される展開まで読み進めなければ、レビューを書く事が躊躇われたほどです。
それぞれの謎のバランスも非常に秀逸で、世界を揺るがすものから「やっぱりな」と納得出来るものまで、明かされていく度に胸が躍ります。

謎に包まれたこの世界で繰り広げられるのは、いわゆる王道のハイファンタジー。溌剌とした主人公エルスを中心とした冒険譚ですが、初めはほんの小さな依頼から、徐々に壮大に変化していく展開は、やはり王道でありながらも非常に読み易く、肩の力を抜いて楽しめる読感です。
物語に花を添えるのが、登場人物達に上手く振り分けられた個性と、彼らが見せる生き生きとした躍動感です。特徴的な語尾等は少し抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、このお話に限っては楽しめる要素のひとつ。むしろ、キャラクターをはっきりと打ち出していて、作者様の巧みな注力が窺えます。

読み進めながら、文字通り一喜一憂出来て、謎が解ける度に先が気にかかる…様々な彩に満ちた王道ファンタジーの世界を、エルス達と共に冒険してみてはいかがでしょうか。

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