海賊と聖女、ケンカップルの船旅の行方は

癒しの力を持つ聖女・メルヴィオラは、己の力を真に目覚めさせる「祈花の旅」という儀式の巡礼中に、大きな狼の姿をした人間――海賊の船長・ラギウスに攫われてしまう。
ラギウスの目的は、メルヴィオラの癒しの力によって呪いを解いてもらい、狼から人間の姿に戻ること。
メルヴィオラは浄化の力を使って呪いを解き、ラギウスは人の姿を取り戻したものの、完全には解呪できなかったため、ラギウスの身体には狼の耳と尻尾が残ってしまい……。

本作は、呪いを解いてほしい俺様系海賊と、海賊船で「祈花の旅」を継続して力を目覚めさせていく聖女の、ケンカップル恋愛ファンタジーです。すごく強引だけど決してメルヴィオラを傷つけないラギウスと、そんなラギウスに少しずつ、次第に急速に惹かれていくメルヴィオラの掛け合いは、自由を謳歌する海賊の笑い声みたいに軽やかで、全編を通して前向きな明るさに包まれています。

そんな二人の仲間たちも、精霊、インテリ、マッチョ……と、個性豊かな顔ぶれが揃っています。私の最推しはイーゴンです。逞しい筋肉と、繊細な言葉から伝わる包容力を、ぜひ本文で確かめてみてください。
とびきり明るい気持ちになれて、爽やかな読後感を与えてくれる物語でした。とってもおすすめです!

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