勝ち気な二人は聖女と……呪われた海賊!? 旅の果てに見えてくるものは。

 個性的な仲間達と海を旅する、キュンとする痛快ファンタジー!

 純白の衣装に宙を舞う花びら、彼女を見送る群衆の輝く笑顔——その晴れやかな場面とは裏腹に、少しだけ憂鬱そうな主人公メルヴィオラがこれから向かうのは『祈花の旅』。
 マノール海域に四つあるフィロスの樹全てに、花を咲かせる……正式な聖女となる者にしかできない儀式の旅をそう呼ぶという。

 そこに突然訪れた黒い影。攫われたメルヴィオラに「呪いを解け」と迫るのは一匹の狼。渋々ながらに協力すると、そこに現れたのは尻尾と耳が残ったままになってしまった海賊、ラギウスだった。

 聖女たれと諭されるように旅に出るはずだったメルヴィオラが、粗暴だけど人を惹きつける俺様海賊と共に彼の呪いを解く旅に出る——。

 これだけでも十分に面白いのですが、本作で目を引くのはキャラクター達それぞれの溢れる魅力!
 聖女であるメルヴィオラはどうしたことか負けん気が強い。旅に出たことでより一層、ラギウスとの会話で彼女らしさが引き出されているようでそこがまた可愛い。
 四方八方どこを向けども俺様で強いラギウスも、嬉しさが尻尾で表現されて隠せてなかったり、メルヴィオラを気遣ってみせたりとただの暴れん坊ではないところもニコニコしてしまう。
 そんな二人を取り囲む海賊達がまた良いキャラしてるんです! ネタバレになってしまうので、気になる人は本編で彼らの魅力を存分に味わってほしい。本当読んでほしい。確実に推しができるはず。

 追ってくる海軍やそれぞれの場所に潜む謎。
 そしてラギウスの呪いは解けるのか?
 メルヴィオラは祈花の旅を無事に終えられるのか?

 軽快な会話でどんどん読まされてしまう。可愛らしくてドキッとするストーリー。
 さあさあ錨を上げて! 出航のお時間ですよっ!

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