未だ咲かぬ恋の蕾は誰の手に。魔狼の海賊×浄化の聖女、溺愛ファンタジー!

 魔狼の呪いで狼の耳と尻尾が残ってしまった海賊青年ラギウスと、半人前ながら浄化の力を持つ聖女メルヴィオラ、攫い攫われという形で出会った二人が解呪のため各地を周りながら、互いの想いを深めてゆく恋愛ファンタジーです。

 一見すれば粗暴で女癖の悪そうな海賊ラギウスは、しかし狼の尻尾と耳があるせいで本心を隠すことができません。軽口を叩きながらもぶんぶん揺れている尻尾を見れば、攫われた側であるメルヴィオラとしても悪い気はしないもの。二人は終始そんな関係で、言い合いをする仲なのに溺愛されている、という面白さがあります。
 しかも、メルヴィオラが持つ浄化の力は涙を通して発揮されるというのあり、スキンシップは多めです。

 中盤以降はラギウスたちが海賊をしている目的、事情なども明かされてゆき、ますます恋愛色も強くなってゆきます。筆致もテンポ良く、ライトな読み心地でユーモアもたっぷり。一風変わった溺愛ファンタジー、ぜひご一読ください。

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