小麦色をした美しい使い

重力逆転災害から数十年。
人々は大きな岩を鎖で岩の天井と繋げ、人が住める島にして適応していった。
ニシイワヒメと呼ばれる町も、人々の苦労の上で栄えた浮遊島都市の一つだ。

そんな日常の中で、青年メグムは品種改良された収穫の効率が良い小麦を育てていた。
しかし、万全な栽培をしていたはずなのに、突如恐ろしい現実が突き付けられる。

ある日、いつものように小麦畑の様子を見に行くと、育てていた小麦がすべて枯れていたのだった。
言葉を失い、メグムはその場に崩れ落ちる。
そして、自分を責めながら膝を抱えて遠くを見つめていく。

しかし、そんなメグムを慰めるかのような優しい雰囲気で包み込む女性が現れる。
彼女の名は、ユキコ。
ユキコは、メグムの話を熱心に聞いていき……。