神が降り立った世界でやがて紡がれる少年・少女の物語

*6番目の章【奇跡】の第三幕第10話読了時点でのレビューコメントです*
人を食べる魔獣が突如として現れ、その数年後には、神秘的な光柱とともに受肉した神<天人>(あまひと)が地上に降り立つ世界の改編が起こる。
同時に地上の人々にはマナが芽生え、それを消費することにより魔法を行使することができるようになった。
改編の日、まだ幼稚園児だった主人公の神代優は、ヒーローへの憧れから魔獣を討伐する特派員になるべく奮闘するが――

マナに色があり視認できる世界で、主人公のそれは無色透明。
それはマナの量が少ないということに加えて、人によっては差別の対象ともなる色だった。
そんな不利にもめげず、憧れたヒーローになるべく、またマナの総量が特別優秀な<魔力持ち>の妹・天(そら)に格好いいところを見せるため、努力する。
また、過去の苦い思い出、家族や友人、他の生徒との関係でもより良い選択肢を模索する。
そして傷だらけになりながらも最後まであきらめずに苦境を乗り越える。
そんな主人公に共感し、追体験する読者も多いのではないだろうか。

天人の少女・シアとの出会い、自らの生命の危機、魔獣や魔人との激しい戦闘、クラスメイトの死、そしていかにも神様らしい天人たちの企み。
若者たちの苦悩を、葛藤を、喜びを、悲しみを、成長を、その瑞々しい情景をしっかりと描き出す本作。
確かな筆致で紡がれる少年・少女たちのこの世界は果たしてどのような結末を迎えるのか。
この物語の結末を是非、見届けて下さい。

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