*6番目の章【奇跡】の第三幕第10話読了時点でのレビューコメントです*
人を食べる魔獣が突如として現れ、その数年後には、神秘的な光柱とともに受肉した神<天人>(あまひと)が地上に降り立つ世界の改編が起こる。
同時に地上の人々にはマナが芽生え、それを消費することにより魔法を行使することができるようになった。
改編の日、まだ幼稚園児だった主人公の神代優は、ヒーローへの憧れから魔獣を討伐する特派員になるべく奮闘するが――
マナに色があり視認できる世界で、主人公のそれは無色透明。
それはマナの量が少ないということに加えて、人によっては差別の対象ともなる色だった。
そんな不利にもめげず、憧れたヒーローになるべく、またマナの総量が特別優秀な<魔力持ち>の妹・天(そら)に格好いいところを見せるため、努力する。
また、過去の苦い思い出、家族や友人、他の生徒との関係でもより良い選択肢を模索する。
そして傷だらけになりながらも最後まであきらめずに苦境を乗り越える。
そんな主人公に共感し、追体験する読者も多いのではないだろうか。
天人の少女・シアとの出会い、自らの生命の危機、魔獣や魔人との激しい戦闘、クラスメイトの死、そしていかにも神様らしい天人たちの企み。
若者たちの苦悩を、葛藤を、喜びを、悲しみを、成長を、その瑞々しい情景をしっかりと描き出す本作。
確かな筆致で紡がれる少年・少女たちのこの世界は果たしてどのような結末を迎えるのか。
この物語の結末を是非、見届けて下さい。
改変の日以降、世界は大きく変わった。
それまでの世界には存在しえなかった人を喰らう魔獣・魔人と言った、物理法則に反する存在が現れ、また形而学上の世界から肉体を得た神々により人類はそれまで御伽噺かいいとこハリウッド映画の中にしかなかった魔法を得た。
そうして神々により手に入れた力で、魔にまつわる存在を討つ。比較文化論や人類文化学、ジョージ・キャンベルが20世紀初頭に腑分けした神話体系の何万回かの再演が、地球における闘争のスタンダードになった世界。
そこで起こる出会いと別れ、闘争と涙、希望と葛藤。
ーー壮大な世界観の舞台で、交錯する幾つもの感情をテーマに踊るメインプレイヤーは3人。
かつて魔を討つ特派員に救われ、憧れを胸に目指す少年である神代優。
その妹で魔法は天才肌であるが繊細で何処か他者と隔絶した所のある神代天。
受肉した神ーー天人であり、存在するだけで物語を綴る特異点のシア。
これは【物語】と【運命】に保証された、ヒーローが生まれ出る話である。
非常にオススメです。
4ページ目までのレビューです。
魔獣が現れるようになった世界で、受肉した神々により魔法が使えるようになった人類は、魔獣討伐のための特派員を編成する。
特派員の訓練校に通う主人公は努力の人。天才的な妹を誇って、いつか彼女と肩を並べても遜色ないくらい立派な特派員になりたいと日々研鑽を重ねている。
魔法の設定や世界観、施設図など、とても緻密に構築されています。主要キャラ4人の関係性などがこれからさらに詳しく明らかになるのでしょうね!
蛙の魔獣との戦闘描写が爽快感があって好きです!戦闘後の悲鳴の先に何があるのか、次話への繋ぎも力強くてページがどんどん進みます!
今回は1万字レビュー企画ということで、一旦ここで区切りをつけさせていただきますが、今後も注目していきたい作品です。良作をありがとうございました!