1-B教室の初日
「1-B……あ、教室一緒だね」
「ホントだな……」
教室の割り当て表を見ると、橘くんと同じクラスだった。
「ん……。これから一年……よろしくね?」
「おう!」
自分が一年間過ごす教室の中に入る。
みんなが一斉にこっちを見てきた。
とりあえず、挨拶をしよう。
「……よろしく」
「「「よろしくお願いします!!!!」」」
男子が一斉に頭を下げた。
「まるで雨宮の子分みたいだな」
お、橘くん面白いことを言うね。
とりあえず座布団をあげよう。
んで、自分の席に座る。橘くんは……え、隣の席なの?
まさか、本気で俺を攻略しに来てるのか?
「まさか雨宮の隣の席だとは思わなかったよ……」
「俺も……。まさか、橘くんの陰謀?」
「ちゃうわ!」
「強く否定するほど怪しい」
ジト目で見る。
「俺にどうしろと……」
ふむ、こうやって困らせるのもまた一興。
……だんだん攻略されていってる気がするのは俺だけか?
「ねぇねぇ、私も話に混ぜて!」
前の席に座る女の子が話しかけてきた。
ふむ、ゆるふわヘアーで元気な女の子って印象がする。
ん?この子も橘くんの攻略対象なのか?
ダメだ。何故かギャルゲーを連想させてくる。
「あぁいいぞ。雨宮もいいだろ?」
「ん」
「ありがと!で、なんの話する?」
「そうだな……。まずは自己紹介からか?」
「そうだね!私は中野 未来!よろしく!」
なかのみらい……。中野さんと呼ぼう。
やっぱり、元気な子だ。
「あぁよろしく。俺は橘守だ。よろしく」
「俺は……雨宮ヒナタ。よろしくね」
「よろしく!二人とも!」
中野さんはニコッって笑ってくる。うん、笑顔がステキな子だ。
これは人気がでるね。
またギャルゲー思考が……。ダメだな。
「雨宮さんってさ、話す時無表情だねー。なんでなの?」
ふむ、結構グイグイくるね。陽キャって感じがする。
だけど、話し方や抑揚的に多分嫌味とかは含んでないのだろう。
「……表情筋が死んでるから?」
「なるほど!ふっかつのじゅもんが必要だね!」
ふっかつのじゅもんだと!?今の子で知ってる人がいるとは……。
あたしゃ感動したよ……。
「DQネタか?」
「そそ、お兄ちゃんがしてたからさ!覚えてたんだよ!」
「……お兄ちゃんナイス」
「なんだ?雨宮もDQ好きなのか?」
「好きとか嫌いでは無い……。日本人ならやるべき……」
「好きなんじゃねぇか」
からかいポイントが来た!よし!
頬を赤らめてくねくねしながら
「今の俺への告白……?」
「なっーー!」
「え、橘くん大胆!」
中野さん、ノリがいい!好き!
「「「ガタッ!」」」
「ち、ちゃうわ!!!!!後、くねくねすんな!!!!!」
「ふふっ、さすが橘くん……。からかいがいがあるね」
「なっ……!てめぇ!後、真顔で笑うな!シュールすぎるだろ!」
「なるほどー。私も今度から橘くんをからかうね!」
「中野雨宮タッグでいく……?」
「いこいこー!!」
「嫌なタッグだな!」
他にも色々な雑談をしていると、先生が入ってきた。
あれは入学式にいた、ちみっこ先生!
「おーい、みんな席についてー」
可愛いらしい声で呼びかける先生。
すると、みんなそれぞれ自分の席に座る。
うん、なんか強制力があるね。
「まずはえっと……私の自己紹介からいきますね!」
先生は背伸びしながら黒板に文字を書いていく。
うん、微笑ましい。
「はい!私は柊木美波と言います!国語の先生です!一年間よろしくお願いします!」
なるほど、ひいらぎみなみ先生ね。
柊木先生と呼ぼうか。
国語の先生なんだねぇ。うん、それっぽい。
「えっと、それでは皆さんも自己紹介してください!まずは一番右の前の席から!」
ふむ、自己紹介か……。ミスれば、この一年間ぼっち生活が待っている。
参考までに良さそうな自己紹介を聞いてみよう。
「田中美月です。えっと……本が好きです」
たなかみつきさん。眼鏡をかけて、本好きの文学少女って感じがする。
密かに人気を集める子だね。
「えっと僕は桜井愛斗って言います!えっと一年間よろしくお願いします!」
さくらいまなとくん。ショタだねぇ。これは女子人気がでるよー。
だって、ちらほら可愛いって聞こえるもん。
「あぁ、オレは千賀 康太。よろしく」
せんがこうたくん。ちょっとやんちゃな感じがするね。
ん……でも聞いた感じ多分いい子だね。
優しい子。なんだかんだで助けてくれるねこれは。
「橘 守だ。あー、橘って呼んでくれ。よろしく」
我らの橘くん。普通だね。至って普通。
だけど、呼び方を決めると話しかけやすいよね。
いい自己紹介だ。
「中野 未来だよ!えっと好きなのは運動かな!よろしくね!」
中野さん。うん、元気で明るい印象がする。
運動が好きだと言ってスポーツ女子になったね。
男子、女子とともに人気がでそうだね。
「中村タイキや!好きな人は柊木先生や!だから、付き合ってくれ!」
「ごめんねー。生徒は恋愛対象外なんだー」
「そんな……何が間違ってたんや……」
「まず、先生に告白するところからかな?」
なかむらタイキくん。初っ端から先生に告白するとは……。君の勇姿は忘れないよ……。
で、中村くんはこのクラスのムードメーカーになりそうだね。
ちょっとおバカキャラって感じかな。
そして、回ってきた俺の番。
どーしよーか?無難な方でいこう。
「俺の名前は雨宮ヒナタ……。ヒナタって名前なのに影にいそうって言われそう……」
「え?言われそうなの?言われてないのに自らそう言っちゃったの?馬鹿なの?」
さすが橘くん!ツッコミが来た!しかし、ツッコミを入れるということはカウンターを受ける覚悟があるってこと!
いくぜ!
「橘くん。人にバカって言ったらダメだよ?バーカ」
橘くんの口に人差し指を当てる!これは効くだろ!
「あ、えっと……そ、そうだな」
「……?どうしたの?」
「な、なんでもない」
ふっふっふ、効いたようだな……。さすが俺……。
オタクの力を見せつけてやったぜ…。
あれ?なんでみんなまで顔を赤くしてるの?
「なるほどーこれが青春ですかー」
「なんの話……?」
「なんでもないですよー。
さて、今日はここまでです!教科書は机に置いてあると思います!帰って全部あるか、不備がないか確認してください!
それでは皆さんさよならー!」
先生の一言でみんな帰る準備をしていく。
俺も帰る準備をする。
教科書が重い……。歩くとふらついてしまう。
と、急に軽くなったと思ったら俺の鞄が橘くんにとられていた。
「持っていってやるよ」
あらやだ、することイケメン!これは高評価です!
だけど、顔を背けながら言うところが橘くんらしい。
「……ありがと」
「どういたしまして」
俺たちはそのまま帰っていく。友達もできたし、上出来だろう。
「……これは危険だねぇ。私も頑張りますか!おーい!私も一緒に帰るー!」
「お、そうか?」
「中野さんを攻略するの?」
「攻略?なんの話だ?」
「私、蚊帳の外になってない?あ、そうだ!連絡先交換しようよ!」
「お、いいな」
「スマホ……まだ買ってない」
「「え?マジ?」」
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