入学式の翌日は休日

入学式の翌日。俺とメイドさんとで買い物に出かけた。

ほら、やっぱり女の子になったし?

可愛い洋服とか着たいわけよ。

……もう既に家にあったけど。


んーでも、やっぱりオタク好みの服が買いたい!と思い、お母さんとお父さんに相談したら、すぐおーけーが出た。

なんなら、ブラックカードまで持たされた。

雨宮家恐るべし……。


と、言うわけで雨宮傘下のショッピングモールに来ました!

何もんなの、雨宮家……。


まずは、洋服!

春物が欲しいので、色々見ている。



「じゃん。どう?」


ベレー帽にシックのコート、白のワンピースを合わせてみた。


「いいと思いますよ?」


「そう」


メイドさんがそういうならそうなんだろう!

ふはは!俺のセンスも捨てたもんじゃないな!

……もうメイドさんに任せよう。変に頑張る必要なかったわ。


次にスマホ!持ってなかったので、買いたいと思う!


「最新のヤツでいい?」


「そうですね。あ、タブレットも買います?」


「ん」



なんと!タブレットも買った!

んー音ゲーする時にいいよね!タブレット!

あ、真っ先にメイドさんと連絡先交換した。

名前が神崎夢さんって初めて知った。


……自分の専属メイドさんの名前ぐらい最初から知っとけよ、俺。


次に、ゲーミングPCを買いに来た。

……もうそこまでテンション上がらなくなってきた。

さて、ゲーミングPCはメイドさんがめっちゃ詳しかったのでおまかせした。


メイドさん、ゲームするのかな?

今度誘ってみよ。


後、最新ゲームとかも買った。

スマブラとかマリオカートとか。

今度みんなを家に招待したいからね。


「ひょー」


「ラノベ好きなんですか?」


「ん……」


立ち寄った本屋さん。

ラノベを見ておきたかったからね!

……メイドさんの手荷物がやばいので今度からはネットにします。

だけど、少しは見たいよね。


「あ……」


「なんですか?……TS転生?」


「そ、男が女の子になる。それがまた尊い」


「そうなんですか。……ヒナタ様って結構女子高生っぽいですね」


「どういうこと?」


「ほら、十年も寝ていて…それで起きたら十五歳だったわけじゃないですか」


「あぁ。俺の精神年齢がもっと低いと思ってたんだ」


「はいすみません。少し調子に乗りました」


「別に構わないよ」



まぁ、俺という記憶とかがあるからね。

精神年齢は高いだろう。


俺は歩き出して振り向く。


「さ、いこ?」


「はい」


メイドさんとの休日はまだ終わっていない。

まだ、連れ回す!


「あ……」


「およ?ヒナタじゃん!やっほー!」


モール内を歩いていると、中野さんがいた。


「やっほー」


「こんにちは。ヒナタ様、ご友人ですか?」


「そ……中野さんだよ」


「初めまして!中野未来です!ねぇヒナタ!」


「何?」


「なんで、メイドさんいるの?」


あー、そっか普通はいないか…。

最近ちょっと庶民の感覚とお金持ちの感覚が混じってバグってる。


「俺、実はお金持ち」


「へぇー、メイドさんいるくらいだからめっちゃお金持ちっぽいよね!」


ぽいじゃなくて、ホントにお金持ちなのだ!


「ん……。お昼ご飯、奢ってあげる」


「やった!ラッキー!」


「ヒナタ様、よろしいのですか?」


「ん。でも、タダでは奢らない」


「ほえ?何かしてほしいの?」


ふっふっふ、私には完璧な作戦があるのだよ!

それは!


「今度、家に遊びに来て?それでチャラ」


「ほえ?それだけ?別にいいよ!」


「ん。約束」


「約束!」


友達と遊ぶのも青春の一環だよね。


フードコートにやってきた。

うん、いい匂いがするねー。

家では結構高めの食材を使ってるから、こういうのは久しぶりかもしれない。


「何にする?」


「やっぱりすき家の牛丼かなー」


「牛丼好きなの?」


「うん!スタミナつけるには肉が一番!」


「ん……俺もそれにしよ。メイドさんは?」


「私は既に済ましておりますので」


なんと!?いつの間に……。

メイドさんが一人むしゃむしゃ食べてる姿。

うん、いい。


「お?雨宮達じゃねえか」


席に座ると急に話しかけられたのでビクッとしたけど、見ると橘くんがいた。


「あ、橘くん」


「やっほー!」


「オッス、隣いいか?」


「ん」


「んじゃ、失礼するぜ」


そういって、私の隣に座ってくる。

え?他にも席空いてるよ?

まさか、橘くんが自らからかわれに来るなんてねー。

よし、ここは!


「橘くん……あーん」


オタクが夢見る、必殺!美少女からのあーん!

これは男に効くでー!


「え?あ、あーん?なんで?」


「こっち見てたから、欲しいのかなって」


「え?あ、だ、大丈夫だ」


「そう」


断られたらすぐさま落ち込んだフリをする。

こうするとだいたいの男は断われない!

前世の俺なら無理だね!


「え、あ、やっぱり食べる」


「ん。じゃあ、あーん」


「あーん?」


橘くんがスプーンを咥える。

よく見ると顔が赤い。


「おいしい?」


「あ、あぁ。美味いぞ?」


「そう。はむっ」


そこから関節キス!

これは効くね!絶対!


「あ!」


「ん?どうかした?」


「いや別に?」


顔を赤くして……初心だねぇ。

……なんで俺、あーんなんかしてんだ?

しかも、その流れで関節キスまで……。

あー最近おかしいな……。


まぁ、別に恥ずかしくない。

心はまだ男だもの。


「あいつ美少女にあーんなんてしてもらってる……」


「くっそ、羨ましい…」


「おい!そこ変われや!」


「美少女ハァハァ////」


周りがうるさい…。

最後のやつは気持ち悪いぞ?心の中で言っとけばいいものを……。


「むー、橘くん!私のもあげよう!」


「え?」


ふむ……。やはり対抗心を出してきたか……。

俺の見立て通り、中野さんは橘くんの攻略対象だ。


……おっと、ギャルゲー思考が出てしまうな。

でも、そうとしか思えないからあながち間違いではないかもな。


「ほら、あーん!」


「あ、え?なんで?」


「いいから!あーん!」


「は、はい!あーん」


中野さんのも食べにいった!これはもうラブコメだよ!

橘くんはハーレムラブコメ主人公の才能があるよ!


なんでハーレムが入るかって?

俺が入ってるからだよ。どうやら、俺も攻略対象なようだからね。

違ったら、自意識過剰みたいで恥ずかしいけど…。


「うん、よし!美味しい?」


「あ、あぁ」


「よかった!」


中野さんの笑顔は素敵だよねぇ。

うーん、周りからの嫉妬の目線が橘くんに向かってるねぇ。ちょっと橘くんがビビってる。


「うーん。青春ですねぇ。私的にはヒナタ様に頑張ってほしいですね…」


「メイドさん……聞こえてるよ……?」


「え?あ!すみません!」


俺が攻略されろと?

ふん!される側には回らないね!絶対に!

ずっと、橘くんは俺の遊び相手なんだ!


「え?メイドさん?」


え?橘くん……幾らメイドさんが空気になっていても、認知ぐらいはしようよ……。

結構メイド服目立ってるよ?


「え?メイドさん?いたの?てっきり何処かに行ってたかと……」


え?中野さんも?


「ええ、いましたよ?ただ、私は気配を消してましたけど……。

どうやら、お嬢様には効かないようですね」


「俺、天才だから別。メイドさんは凄い」


「お気遣いありがとうございます」


あー、気配を消す技術とか持ってるんだ……。

ふーん……。え?俺には効かないってどゆこと?

ここに来て、ファンタジー要素出してくる?


まぁ、確かに影が薄いなとか思ってたけど認識できない程ではなかったよね。

つまり、俺すげええええってことか!

あ、そうだ忘れてた。


「あ、橘くん」


「なんだ?雨宮」


「今度、俺の家においで」


「え?いいけど」


「中野さんも来るから。

今日スマホ買ったから連絡先交換しよ?

それで日時を後で送るから。中野さんも」


「おう、ちょっと待ってろ。えっとスマホ」


「あ、先に交換しよ!えへへー、女の子の連絡先ゲットー!」


そんなに喜ぶことかね?

うーん、あ、まだクラスの子と連絡先交換してないんだ。

初日は俺たちとずっといたからねぇ。


「お、あった。ほらよ」


「ん。ご苦労」


無事、橘くんの連絡先を交換したところで、

俺たちは別れた。

橘くん達は、どうやら他にも買うものがあるらしい。

俺はもう買うものがないから、帰宅した。


うん、今日は充実した休日だったね。

明日は……え?日曜日?てっきり月曜日かと……。

何しよ?


部屋に戻ると、ゲーミングPCが組み立てられてあった。

明日は、プログラミングでも覚えよ。

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