TS美少女の甘くて優しい生活

うさぎのしゅごしん

プロローグ

「ふぅー、ようやく仕事終わったー」



25歳、オタク、社畜。

会社の為に働かされ、今日も深夜までというか、もう朝なんですけど。

帰ったらアニメと漫画とゲームとその他諸々が待っているが、最近は帰れてない。

録画溜まってるだろうなー。

まぁ………。



「やっと…。少し休める…」



眠気覚ましに俺はコーヒーを飲もうとして、立ち上がると



「あ……れ……?」



視界がぶれ、地面がどんどん近づいて来た。



(あ……これ、死ぬやつだ)



最後に思ったことは、会社大丈夫かなと最後まで会社のことを考えていた。





「ん……?」



ここはどこだろうと、辺りを見渡す。

どうやら、ここは病院らしい。

もしかして、死なずに病院で目覚めたのだろうか。

もし、そうなら面倒なことが起きないで済む。


コンコンコンとノックがされ、看護師さんが入ってきた。

そして、驚いた顔をして口をパクパクしていた。



「あの……大丈夫ですか……?」


「ひゃい!え?起きてる……?」


「ん…?俺が起きていると…何か問題があるのか…?だとしたら申し訳ない…」


「あ……。ち、違うんです!!!!!そうじゃなくて!!!!!」



看護師さんがめっちゃあわあわしていて、可愛らしいなと思った。



「どうされましたかー?入りますよー?」



もう一人の多分、ベテランの看護師さんが入ってきた。



「え……」



その人もまた、俺の姿を見て驚いている。

なんだ?そんなに俺が起きているのが珍しいのか?

それとも、もう何年も経っていて……とかか?


はっ、だったら笑えるな…。



「はっ!先生ー!!!!!ヒナタさんが起きましたー!!!!!」



ナースコールを押してからベテラン看護師さんがお医者さんを呼びに走っていった。

病院内は走っちゃいけませんよー?


さて



「世間話でもしません……?看護師さん……」


「ひゃい!?わ、私ですか……?」


「そうですよ……?この場には俺と貴方しかいませんよ……?」



なんだ……?結構喋るのが辛いのだが……?

一言、一言話すだけで息切れを起こす。

なんだこれ……?

まぁいいや。



「それで……どうします……?これでは、俺が独り、ボソボソと呟いてるみたいじゃないですか……」


「そ、そうですね!えっと!何、話します?あ!今日の天気は晴れですよ!」


「ふっ、天気の話から入りますか……。面白いですね……。そうですね……。天気がいいなら外を散歩するのもいいかも知れませんね……」


「あ!まだ、ダメですよ!ヒナタさんは十年も寝ていたのですから!」


「俺が……十年も寝ていただと……?ははっ、面白い冗談を言いますね……」


「じょ、冗談じゃありません!だから、まだ安静にしてください!」



どうやら、本当に十年も寝たきりだったようだ……。

はっ、本当に何年も経っているとは……。


それでも俺は、ベッドからおりようとする。

あれから十年も経っているなら……それなりに老けているはずだ。


しかし、地面に立とうとすると自分の足が届かなかった。

え?なんでだ?俺の足そんなに短かったか……?



「あ!ダメですよ!まだ寝ていてください!」


「大丈夫……」



看護師さんを見上げて……。見上げて…?

何故、俺が見上げなきゃいけないんだ?

俺の身長、百七十はあるはずだ。

看護師さんはどう見ても、百六十センチちょいだ。


確認しなきゃ……。俺の姿を……。現実を……。


そして、突きつけられる……。

俺は……。



「え………?」



美少女になっていた。

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