入学式が何故か盛り上がる
四月八日…。
今日はちょっと特別な日である。
ふっふっふ…教えてやらんこともないぞ?
そう!入学式なのだ!
あ、裏口入学とかじゃないぞ?
ただ、特別に試験を受けさせてもらったのだ!
それで、ちゃんと受かったんだよ。
いや、本当は通信制高校に通うはずだったんだ。
だけど、ちょっと無理言って普通の高校の試験を受けさせてもらった。
ありがとう、お父さん。
実は、高校までの送り迎えの車がある。
ちょっぴし恥ずかしいけど、この体で電車に乗れるかって聞かれたら無理だと答える。
体力無いもんこの体。
一応、校門の前で写真を撮った。
先生から入学式の説明を受けた。
どうやら、体育館にそのまま入るらしい。
あ、高校の名前言ってなかったね。
雨宮高校だってさ。
ねー、どっかで聞いたことあるよね。
はい、うちが作った高校です。
名前聞いた時、特別に受けさせてくれたのってうちの学校だからかーって思ったよ。
まぁ、いいや。
とりあえず、いざ!入学式!
◇
「ーーーであるからにしてー」
俺は今日からここに通うことになった橘 守だ。
テストの時、名前を書く時、二文字だから時間ギリギリでも大丈夫だ。
と、めっちゃ適当なことを考えるぐらい話が長い。
長すぎて隣の奴なんて寝てるぜ?
まぁ、寝顔が可愛いからいいんだけどさ。
「では、首席合格した雨宮ヒナタさんに話をしてもらいます。
雨宮ヒナタさん、壇上に上がってください」
「くすぅ……」
「雨宮さんー?どうぞー?」
「ひゃふぅ……」
おいおい、雨宮って奴早く壇上に上がれよ……。
これ以上長引かせんなよ……。
もしかして、隣の奴みたいに寝てんじゃね?
「おかしいですね……雨宮さん入学式に出てるはずなんですけど……」
「もしかして、誘拐とかでしょうか?」
「それは不味い!」
なんか、先生達が騒ぎ出した。
え?そんなに慌てるか?一人の生徒がいないだけだろ?
……いや、それはそれで問題か。
しかし、ただ迷ったりしてるだけかもしれんのになんで誘拐とかに話が発展するんだよ。
「あ、雨宮さんの席はどこですか?」
「あ、あそこですね。え?あ、雨宮さんいますね……」
先生らがこっちに来る。
俺?俺が雨宮なのか?いや、違うわ。
隣のやつだ。こいつか……。
「おい、おい……!」
女の子に触るのはちょっと気が引けるが揺らして起こそうとする。
「むにゃ……?あ………寝てた……」
「起きたか?お前の名前は?」
「え……?俺の名前……?」
まさかの俺っ子だと……!?ウッソだろお前!?
よく見るとめっちゃ可愛い子なんだが!?
それで俺っ子!?
こえーよ!世の中こえーよ!
「俺の名前は……雨宮ヒナタ……。君は……?」
「俺は橘 守だ。たちばな まもる。おーけー?」
「ん……おーけー」
無表情で親指たてられても……可愛いとしか思えんが?
しかも、オッドアイだしよぉ。なんか二次元のキャラクターみたいな奴だな。
「んで、お前首席なんだろ?壇上で挨拶するとか聞いてないか?」
「ん……?知らない……」
「え?そうなのか?」
てっきり知ってると思ってたが……。
「知ってたら寝てない」
「そうか。そうだよな」
「あ、雨宮さん?壇上でお話してくださいませんか?」
先生が来て、どこか安心したような顔をしながら頼んでる。
だから、めっちゃ違和感を感じる。
「聞いてない……」
「え?嘘。安藤先生!ちゃんと説明しましたか!?」
「え?あーえっとー」
めっちゃ目が泳いでる。何あれ。
「してないんですね!?」
めっちゃグイグイいくやん。だけど、この先生可愛いな。ちっちゃいからか?
この学校やべぇな。二次元キャラが多くね?
「はい………忘れてました………」
「全く、後で説教ですよ!」
「はい………」
安藤先生には黙祷をしておいた。
「んで、雨宮さん!」
「はい……?」
「寝ていたらダメじゃないですか!」
「ん………校長先生の話が長いのが悪い」
「それでもです!校長先生が昭和か!って思うぐらい話が長くても寝ちゃダメです!
校長先生は話長いんです!めっちゃ長いんです!朝とかめっちゃ長いんです!
もう聞いたってことも二回以上言うから精神が鍛えられます!
だけど、どれだけ話がつまんなくて長くても寝ちゃダメですよ!いいですね!?」
「ん。努力する」
「よろしい。では、話をしてください」
なんか校長先生がボロクソに言われていた気もするが……。
あ、校長先生泣いてる。
雨宮が壇上に上がっていく。その姿はみんなの目を引く。
わかるぜぇ。可愛いもんな雨宮。
「ん。俺を待ってくれてありがとう」
(((ザワッ………)))
あ、絶対あの可愛い子が俺っ子だと!?ってなってざわついてんだ。
大丈夫だ。俺もなった。
「大丈夫……?続けるよ……?えっと……校長先生の話の長いのを耐えて偉いね」
(((ザワッ……!)))
ウッソだろお前!?マジかよ、校長先生の話の長さの話題をまだ続けんの!?
これが首席と俺の違いか……。
校長先生は……あ、のの字書いてる。
「えっと……俺は……最近までずっと寝てた……。
もう一生目覚めないって言われてたらしい……」
(((ザワッ……!)))
そうなの!?重くね!?その話!
「あ……話すことないから……関係ないこと言っちゃった……」
もういいわ!!!!!
突っ込むよな!そりゃな!なんだよ!天然なの!?
あの子の属性多くね!?可愛いからいいけど!
「じゃあ最後に……」
「みんな、仲良くしよ……?青春を送る秘訣だよ?」
「「「うぉぉおおおお!!!!!!!!!!仲良くするぜええ!!!!!!!!!」」」
雨宮が口元を人差し指でとめる。
あぁ、可愛いな……。なんだこれ……。
男子がめっちゃ盛り上がってる。あ、女子は萌え殺されてる。
なにこれ?あいつやべぇよ。可愛い顔して恐ろしい子!
「なにこれ……?」
ホントな!
◇
びっくりした!なにこれ!?なんでそんなに盛り上がってるの!?
まぁ、壇上からおりよう。
「あ、ありがとうございました……。こ、これにて入学式を終わります……」
あ、入学式終わった。やった!
「お、お前すげぇな」
橘くんが話しかけて来た。これは!ぼっちを回避できる!
ここはひとつジョークをはさもう。
「ん……?だれ……?」
「だれ……?って酷くね!?さっきまで話してたじゃん!」
「嘘。覚えてるよ。雨宮ジョーク。どう?橘くん?面白い?」
「あんまり面白くねぇ」
「ひどい……俺、泣いちゃうよ…?」
「無表情で言われてもな」
やれやれと橘くんは首を振る。
うーん、この感じはこの子はモテるね。
ラブコメ主人公っぽい。
まさか!俺を攻略しに来たのか!?
……なわけないない。
「教室、一緒にいこ?」
「お、おう。あ、でも違うクラスなんじゃ」
「入学式の席の割り当ては同じクラスで分けてある。だから、同じクラス」
「へぇー、詳しいな」
「……実は適当に言った」
「騙された!」
あ、橘くん結構面白い。からかいかいがある。
高校はこの子で遊ぼう。
だから、仲良くしてね?橘くん。
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