お悩み解決部始動!

「……田中さん?」


学校に行くと、綺麗な人がいた。

でも、何となく田中さんだと思った。


「おや、雨宮さんでは無いか」

「……やっぱり田中さんだ」


顔で分かった。

てか、あの文学少女はどこいったんだ……?


「おや、雨宮さんは私だって分かったのかい?凄いではないか。

誰も、私だと分かってくれなくてね……」

「ん。田中さんがいい意味で変わったから、少し分からなかった」

「そうかね?」

「そう」

「ふむ、それは良かったよ」


田中さんは笑みを浮かべる。

それを見た周りの人は田中さんに見とれていた。


「では、一緒に教室に行こうではないか」

「ん。行こ」


教室に入ると、田中さんが綺麗になった姿を見て、みんな驚いていた。



 ――



休み時間。

俺は橘君と学校で部活設立の事で話していた。

ちなみに、中野さんは用があってどこか行っている。


「美月さんが、部活入ってくれるってよ」

「え……?本当に……?なんで……?」

「ちょっとあってな。

それで、美月さんにどんな部活がいいか聞いてみたんだよ。

そしたら、お悩み解決部なんてどう?って提案されたんだ」

「お悩み解決部……?」

「そうだ。その名の通り、悩みを解決する部活だ。

なんだか、青春っぽいだろ?」


いいと思うんだけど……。

大事な事がひとつある。


「人……来ると思う?」

「人……来ないか……?」

「まあ……やってみる……?」

「やろうぜ!」

「ん。やろう」


田中さんが入ってくれたおかげで、部活を設立することが出来た。


そういえば、橘君、サラッと田中さんを下の名前で呼んでるじゃん。


職員室にて。

そこにいた先生に部活設立の紙を提出した。

だけど……


「お悩み解決部ぅ?ダメダメ」

「な、なんでですか!」

「当たり前だろ。人の悩みを解決するだけの部活を誰が認めるんだ」

「く……」


橘君は悔しそうにする。


「いいじゃないですか」

「柊木先生?」


柊木先生が間に入ってくれた。


「誰かの悩みを解決する……その心意気を認めてあげませんか?」


そして、俺たちを擁護してくれている……。

柊木先生の思いが伝わったのか、悩む様子を見せている。


「うーん……」


「お願いします……!」

「お願いします!」


その先生は頷いて


「……分かった。いいぞ」

「本当ですか!?やったぜ!」

「ん。良かった……」


こうして無事にお悩み解決部が設立された。

顧問の先生は柊木先生が受けてくれた。

とても、ありがたい。


部室は空いていた第2理科室になった。


そして今日の放課後、部室にみんなで集まっていた。

田中さんが、結構喋ってるのに驚いた。


「柊木先生が顧問になってくれたんだ」

「この部活も、柊木先生のおかげ」

「柊木先生には、マジで感謝してる」


俺もこくりと頷く。


「ふむ。なるほど、柊木先生のおかげでこの部活は設立出来たのか……。

守君にお悩み解決部なんてどうだいって言ったけど、実際に承認されるかは微妙だと後から思っていたんだよ」

「あ、やっぱり?」

「中野さんも、そう思ってたんだ……」

「うえ?俺、なんも考えてなかった」


橘君がガックシと項垂れる。


「だろうね……。……昔からそうだったもん」

「ん?」


俺は中野さんの言葉が聞こえたが、スルーする。

……別に、なんの意図も無いよ。


「まあ、何にせよ、この部活を作ったからにはちゃんと活動しないといけない。

でも、人が来なければ意味が無い。

そこでだ!」

「うわっ!」


中野さんは声を出し、俺は体をビクッとさせてしまった。


「あ……すまない。急に大きい声を出してしまって……」

「あ、いいよ。気にしないで」

「ん。気にしない」

「そうか……ありがとう。

では、続ける。

悩みを抱えている人を集める為には、我々が活動していることをアピールしないといけないのだ」

「なるほど……」

「それで、ポスターなんて作ってみてはどうだろうか?」


……思ったより普通の案だ。


「パソコンで作る……?」

「え、ヒナタって、パソコン使えるの?」

「任せて」

「ふむ。なら頼もうか」

「明日には完成してるよ」


俺は親指を立てる。


「頼もしいな」

「……俺のすることあるか?」

「そうだねぇ……今は無いかな」

「そうか……」


なんか、しょんぼりする橘君。

活躍したかったのね。


そして、この後も色々話したけど、ポスターを作ることだけが決まった。


明日も学校が楽しみだ。

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