家族のほんわか心温まる物語

祖母の遺言にしたがい、祖母の家を引き継ぐことになった美月。
そこで彼女は、庭にある祠を見つけ、祠にお供え物をするとお供え物が消えていく不思議な現象にあう。
そして、美月は子どもの頃に出会ったことがある子ども――いや、神さま・光と再会する……。

美月をみいちゃんと呼ぶ光との関係性が深まっていく様子が、微笑ましくもあり、同時に光の孤独が溶かされていくのが分かり、心が温まります。
そして、第1章の最後に悲しい出来事が待っているものの、転じて、より美月とそのパートナー・奏多との関係性がより深まるのも、とても良かったです。
(光が消えてしまわなくて、本当に良かったです)

第2章では、美桜ちゃんの恋心がくすぐったくなるくらいに微笑ましく、口から砂糖がざーっと出そうになります。
甘酸っぱい恋模様に加え、失せ物探しや人捜しに関係してくる、様々な人々の関わり合いを通じて、美桜ちゃんが少しずつ成長していくのも丁寧に描かれていて良かったです。

あと、光と白狐がかわいい!
お互い成長しても根っこの部分は変わっておらず、相変わらず、みいちゃん含め家族のことが大切だと伝わってきます。
家族が大切だからこそ、失せ物探しを行い、美桜ちゃんに姿が見えるように努力する光はとても健気で応援したくなります。

第2章の最後がどうなるのかは、やはり読者のみなさまに読んでもらうのが一番なので、ここでは触れません。

ひとつだけいえることは、本作は、神さまを含めた家族の物語だということです。

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