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「簡単についたな」
『……』
「いやぁ、入街税とか取られなくてよかったな」
『……くぅ』
2時間ほど森をさまよい、街にたどり着き、さっさと宿を見つけ、部屋を確保したダレン。クゥが呆れているのは街探しより採取を優先して思った以上に時間がかかったためである。
「取り敢えず、冒険者登録は明日にしてだな」
『……』
「まずは、スープ作りだな」
『なんでぇ!?』
『1度に量を作れるし、材料あんま使わない上に、時間かけられるから熟練度効率かなりいいんだよ』
『だからなんでぇ!?』
「いや、熟練度リセットされたし」
『レベルはぁ?』
「この辺りなら、わざわざレベリングする必要もない。それよりは生産系の熟練度を今の内に上げとく」
『……くぅ』
そんなこんなで、宿の女将に夜の調理場の使用許可を取り、宿探しの途中で買った鶏ガラと採取した野菜を煮込んで行く。
「同時進行でポーション作るから、俺が眠るか灰汁が出てきたら叩いて教えてな」
「くぅ」
スープを火にかけたら、椅子に座り採取したポーションの材料をクゥから受け取り、そのままポーションを生産していく。
『くぅ』
「お、出てきたか」
『くぅ』
「さんきゅ」
『くぅ』
「……おぉ」
しっぽでパシッと背中を叩かれては、ポーションに向けられた意識が覚醒し、スープの灰汁をとりのぞく。かれこれ4時間この作業を繰り返していた。
「うん、灰汁も出なくなってきたし、今回はこれで完成でいいかな」
『完成ぇ?』
「一応、味見しないと分からないけどね」
そう言いながら、小皿にスープを盛り、口をつけると旨味は最小限ながら身体に染み渡る様な素朴なスープが完成していた。
ステータスのほうも確認してみるとVITが1加算されている。
「こんなもんだろ、あとは、徹夜のペナルティ発生までポーション作りを……あ」
『くぅ』
「ポーションの材料尽きた……」
『くぅ?』
「やべぇ、刺繍でも出来ればいいんだけど……素材も道具もないし」
『大人しく、休めばぁ?』
「いや、さ……」
『くぅ?』
クゥの忠告にダレンはバツの悪そうにこたえる。
「何か、手が空くのは勿体なくて」
『寝ろぉ!』
「えー」
こうして、ダレンの転移初日は終わっていくのであった。
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