10

「あ、ダレンさん。無事だったんですね」


「無事?」


翌朝ギルドに向かうと受付嬢から声をかけられる。


「いえ、最近姿が見えなかったので何かあったのかと……」


「あぁ……宿に引きこもってました」


「えぇ……」


あっけらかんといい放つダレンに若干引く受付嬢、当たり前だが、周りの冒険者も引いている。


「最近、ラッシュボアが目撃されているので気を付けてくださいね」


「ここら辺でラッシュボア?でかいボアの見間違えとかじゃなくて?」


ラッシュボアは2つ目の街の周辺でも奥地ほうのモンスターであり、最初の街であるアトファス近辺にいるはずのないモンスターである。


「初めはこちらもそう思ったんですけど、目撃例が多数あるのと、実際にボアを狩り慣れてる冒険者が怪我をしてまして」


(あぁ、レアエネミーか)


レアエネミー……低確率で1つ上のエリアに出現するモンスターが現れる現象であり、そのモンスターをソロで倒せるならそのエリアは卒業しても良いと言われていたりする。


「ラッシュボアは今のレベルじゃキツいから気を付けさせて貰いますよ」


「ええ、ですが有志によるレイドの準備もされていますのでご安心を」


(ラッシュボアなら1パーティでもなんとかなるし、レイドなら余裕か……)


「なら、気にせずいられますね」


「それもどうかと思いますが……お気を付けてくださいね」


「はい」






「やっぱり、遠距離武器あると効率が段違いだな」


『……そうだねぇ』


早速、作った弓を使用し狩りを始め、気がついたら3桁超えのゴブリンとウルフを1日で狩ってしまっていた。


「……1日10個提出で3週間は採取に集中できるな」


『……一気には換金しないんだぁ』


「一気に出して相場が崩れるのは避けたいしな」


『くぅ』


最も、ゴブリンの魔石の100や200で相場が変動することはないのはダレンも承知の上だが、採取を優先したいため、そう理由付けをしていく。


「ん?」


『ますたー?どうしたのぉ?』


不意に、首を傾げるダレンにクゥが不思議そうに声をかける。


「戦闘音……近くで誰か戦ってんのかな?」


『助太刀ぃ?』


「いや、余計な手出しは獲物の横取りになるだろ……一応見とくけど」


そんな会話を続けながら、音のする方へ歩いていく1人と1匹。その先には……


「お」


『デッカぃ』



朝、ギルドで注意を受けたラッシュボアと明らかに苦戦中の冒険者4人いた……










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駄ルケミスト異世界へ来ちゃいました 資笑 @mjryayoi

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