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「あれ?ここは?」


どこかでみたことのあるような山林の多少拓けた場所にダレンは仰向けに倒れており、クゥが心配そうに覗き込んでいた。


『ますたー?起きた?』


「おぉ、クゥ……何があった?」


『……反射版貫いたぁ』


「あぁ、許容範囲超えたか……ダメージどんくらいだったんだろ?」


『そんだけぇ!?』


「まさか、クゥにキルされる日が来るとは思わなかったな!ははっ」


『……ごめんなさぃ』


攻撃性能0なのにと笑うダレンに対して落ち込むクゥ。


「いや、クゥも庇ってくれたの覚えてるし……てか、クゥの装甲貫いたのすごくね?」


『くぅ……』


あっけらかんとしたダレンの様子に少しだけ元気が戻る。



「しかし、久しぶりにデスペナ食らったけど、こんな重かったっけ?」


ダレンは今の状態を確認すると、疑問符を浮かべる。


今のダレンの装備は初期装備であり、しかもレベルも1まで下がっている。

……明らかに重すぎなペナルティである。


「んなわけないよなぁ……クゥ、アイテムどのくらいある?」


『ん?……ますたー……』


「ん?」


『……アイテム…ほとんどなぃ』


「まぢか……」


クゥの絞り出すような声に、動揺を見せるダレン。


クゥは、空輸竜エリアルポータードラゴン……攻撃性能0にして、動く倉庫兼運び屋《ポーター》性能特化型の人工従魔であり、かなりのアイテムを保持していていたはずなのである。


『うぅ……ますたー……』


「取り敢えず、一旦ログアウトして拠点に戻ろう」


『……うん』


ダレンがウィンドウを呼び出してログアウトをしようとするが……


「あれ?ログアウト出来ない?」


『え?』


「……どういうこと?」


その後、いろいろ試してみるも結局、ログアウト不可能という結論に至る。







「あれか?ダメージが脳の許容量を超えて夢見てるとか?」


『?』


頬をツネってみるが、感触は勿論あり、軽い痛みが現実であることをものがっている。


「えぇ?マジかぁ……あの人に当たらなくてよかったぁ……」


『くぅ』


そんなよくわからない結論に達したダレンにクゥはなんとなく頷いて見せる。


「取り敢えず……どうしよ?」


『ますたー……』


「うん、まずアイテムなに残ってる?俺、今初期装備だし、無一文だわ」


『ジョブオーブ1個と30,000ルラだけぇ』


「うわぁ……ホントにペナルティ重いなぁ」


「じゃあ、オーブ出してくれ。今、無職ノービスだし」


『くぅ』


クゥにより掌に渡されたオーブを確認すると、かなり前に取得したユニークジョブオーブだった。


ジョブオーブに3つの種類があり、1つ目が通常の天職用のジョブオーブ。


2つ目がその種類の中級職以上のジョブに転職条件を無視して転職出来る上級ジョブオーブ


最後に上級ジョブオーブと効力は同じだがステータス表示に固有のジョブ名をつけられるユニークジョブオーブである。


「よりによってジョークで名付けた【ダルケミスト】かぁ……まぁ上級職だしいいか」


『ますたーにぴったり!』


「どういう意味だよ?」


クゥをジト目で見ながら、オーブを使い転職を完了させる。


「さて、今更だがここはどこかわかる?」


『たぶん、アトファスの森ぃ』


「ああ、本当にリセットされてんのね」


アトファスの森とはゲームのスタート地点の街、アトファスに繋がっている森……そのままであるが……


「じゃあ、取り敢えず採取でもしながらアトファスに探すか」


『くぅ』


ようやく目的地を決めて、それに頷くクゥと共にダレンは森のなかを歩きだした。

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