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「ずいぶんたくさん作ったわね」
「まぁ、作ることが目的なので」
朝、起きると宿の女将さんに開口一番に呆れられたように言われる。
「飲んでみます?」
「あら、良いのかい?」
「これだけあるんで」
「じゃあ、いただこうかね」
女将さんはダレンから容器を受け取り、少し物珍しそうに見たあと、ゆっくり飲み干していく。
「ん、なかなか素朴でいい味じゃない。うちの朝食に使いたいくらいだわ」
「コップ一杯10ルラでいいですよ」
「いいの?子供のお駄賃みたいな金額だけど」
「さっきも言ったけれど、作ることが目的なので」
「それじゃあ、遠慮なく買わせて貰おうかね。今から温めれば朝食にも間に合うだろうし、逸品作る手間が省けたわ」
「まいどあり、ところで冒険者ギルドってどこにあります?」
硬貨を受け取りながら、そんなことを切り出すダレン、因みにクゥは、商談中はいつもだんまりを決め込んでいる。
「うん?まだ登録してなかったのかい?」
「昨日、街に着いたのが遅かったので」
「珍しいね。まあ、ギルドは街の中心部だから迷う事はないよ」
もっとも、この時間には開いてないけどね。と続ける女将さんと少し雑談にふけるのだった。
★
それから、ひとまず部屋で休憩した後、冒険者ギルドに向かったダレンは登録を済まそうと、ちょうど空いていた受付嬢に新規登録の旨を伝える。
「新規登録ですね、こちらに必要事項を記入して下さい。それと登録料は500ルラいただきます」
「はい」
本当に手隙だったらしく淀みなく、手続きが進んで行く。
「こちら、Fランクのカードとタグになります」
「はい、ありがとうございます」
それから、ランクや買い取り所、パーティ斡旋やクエストの説明などを受け、最後に。
「ランクはギルドへの貢献度等を加味して上がっていきますので、頑張って下さいね」
と受付嬢に微笑まれながらそう言われたダレンだが、心がどこか遠くにあるように、はいと返事をしただけだった。
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