大人の恋の銀縁眼鏡

恋愛作家の先生は、銀縁眼鏡の無精髭。身なりに少し無頓着なところが、私には好ましい。何故って、先生の素敵さを知っているのは私だけでいいのだから。

銀縁眼鏡は叡智の結晶。それを恋の駆け引きに用いるなんて神をも怖れぬ不遜。だがそれが人類。それが文学なのである。
この作品に漂う官能性は、珈琲カップの内側に残された茶色の線、銀縁眼鏡の手触り、昼下がりの書斎の気配、まっさらな原稿用紙、想像上の砂糖の味に宿る。それは直接的な描写よりも読者の脳に刺さるだろう。
銀縁眼鏡を免罪符とした、大人の恋の物語だ。

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