心を込めて作った料理と楽しい食事の記憶は、魂にまで刻まれる

 訳あって森の奥でひっそりと暮らす妖術士見習い、水蓮。
 ある日彼女は、雪の中で行き倒れていたイノシシの獣人「天蓬」に出会う。
 野生的なルックスと裏腹に、彼は優雅な仕草で振る舞われたお茶漬けを食す。態度や言葉遣いの端々に高貴なオーラを漂わせる彼は、お美味しいお茶漬け(おかわり有り)とお茶を堪能して去ってしまう。
 久々に誰かと楽しく食事した後では、ひとりぼっちの淋しさが身に染みる。人のために料理する楽しさを思い出した水蓮だったが───あの俺様な獣人は一体、何者? 来訪の目的は?

 なんやかんやあって、森を飛び出し彼らと旅立つことになった水蓮。 道中、愉快なお仲間が増えたり天蓬さんに変態疑惑(?!)が持ち上がったりと、それはもう賑やかで楽しいこと。
 旅の中、刻々と変化していく水蓮の気持ちが細やかに綴られ、思わず応援したくなっちゃいます。頑張れ、水蓮ちゃん!
 水蓮が振る舞う料理の数々はどれも心を込めて丁寧に作られており、身も心も温まりそう。異なる文化で育ったらしい天蓬も、すっかり水蓮の料理の虜に。食の記憶って、強く残るものですね……
 彼女の決断と彼らの行く末を、どうぞ見守ってあげてください。あまーい!!

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