痛怪なエンタメの予感しかしない

怨嗟、慟哭、魂を震わせる愛憎怨怒の類はこの物語の作者のエンジン音である。自己と他己をひたぶるに燃やし焼き、残り残った消し炭を以て純白の理想というキャンパスを塗り犯していくように物語を紡ぐ断末魔にも似た芸術である。

笑いを嘲いに置き換えるような痛く怪しいエンタメの予感しかしないが、読者は作者の過去作品にそれだけではない光を見るだろう。あるいは泥濘じみた血河やもしれぬ。

人生の墓場であるといわれる結婚式(演)、そこでの「ちょっとまった」系の演出の流れ。だがしかし花嫁を略奪し脚光を浴びるべき主人公は雪隠詰めである。

なにゆえか。
作者ゆえか。

その答えはきっとコンテスト期間中の完結でわれらは知ることになるだろう。
なるよね?

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