ひとこと紹介にある通り特撮の王道にあると思える物語です。特撮をずっと見てきた訳ではない私でも分かるくらい、作者の持つ熱量が感じられます。
他の方のレビューには仮面ライダークウガのオマージュを強く感じるとありますが、私はそれだけでなく昭和ライダーが持っていた、ヒーローになってしまった悲哀を感じました。
望んだ力ではないし、望んだ戦いでもないけれど、敢然と立ち向かう姿だけがヒーローではなく、平和な時間にこそ暗い影を落とすシーンにこそ登場人物が人格を備え、平和に根ざしたメンタリティやインテリジェンスを持っている、即ちヒーローに視覚という者があるならば、それを十分に身に着けていると感じさせられます。
エピローグ2まで見ました。
<良いところ>
ギャグとシリアスの割合がちょうど良いです! また優子ちゃんも強かなキャラで面白いです。
主人公の苦悩も上手く出ています。異種族だけど、意思疎通が取れるというのも良い設定だと思います。序盤から出てるアスラーダもいいライバルになってて飽きにくいですね。次へと読みたいと思える気持ちいいキャラ。
怪人の中には闘う者と現代に馴染んだ者、共生したかった者、うまく描かれています。怪人との戦いで主人公が苦悩するシーンも良かったです。
単なるバトル物でなく、地の文でしっかり主人公が引き出せているところ、読者の気持ちを引き出せる文章も素晴らしいです。スラスラと読めました。
<気になるところ>
なるべく主人公視点を固定した方が良く出るかも、と思います。特に暴走ミュータント対抗戦 前編は混乱を極めました。振り回される主人公!って一つに絞った方が、主人公に投影しやすいと思います。
すごく残念だったのは、タイトルの統一感が急になくなったところです。漢字のみ二文字のみで頑張って欲しかったです。
優子ちゃんがこの作品の魅力でもあるので、もうちょっと過去とか欲しいです!
もし、あなたが大人が観るべき特撮ヒーローの物語を欲しているなら是非、この物語を読むべきだろう。
「炎陽神 エルガイア」は、2016年に某TV番組で企画化されたが惜しくも映像化されなかった作品であり、これはそのシナリオをそのままノベライズ化したものである
……というのは嘘だが、良い意味でそう言って騙されても良いほどの熱さとクオリティだからだ。
あっけなく人が死に、人の論理も価値観も通用しない無慈悲な相手に無力なはずの主人公が「可能性」から選ばれ、苦悩や悲しみの中で戦ってゆく……正直、今のラノベでそんな話を読もうと思う読者は少ないだろう。
だが、「努力もなくチートスキルでザマァする」「大した理由もなく美少女に好かれイチャイチャする」そんなフニャけたラノベばかり欲する読者も「戦う掟を課せられた者の運命」を描いたこの物語を一度くらい読んで知るべきではないか。何の努力もなく得られた力で異世界を謳歌する物語とは真逆のこの物語。そこに描かれたもの、「異能の力は人の運命をただ楽しい結末に導くものではない」ということを、そろそろ知ってもいい頃ではないか。楽しいだけのストーリーで綴られたラノベブームが一体何年続いたか。読む者の人生の糧にならぬ物語ばかりが、そうやって持て囃されて危惧を抱く出版社もないままに。
「炎陽神 エルガイア」を読んだ者は、人気があるだけで受賞したり出版された「血や涙や悲しみから目を背けて描かれた物語」の空虚さをきっと知るだろう。
……だからこそ、この物語に光を当てようと手を挙げる出版社が未だ現れないのかも知れない
千年もの時を超えて蘇った怪人『ミュータント』達。
その中でも何物にも属さない唯一無二の存在『エルガイア』の力を授かった主人公が闘いに身を投じることを余儀なくされる、特撮ヒーロー系のアクション作品です。
戦闘シーンが、とにかくカッコイイ!
変身からフォームチェンジ、また圧倒的な破壊力を持つミュータント達それぞれの個性的な能力の描写が素晴らしく、まるで映像作品を見ているかのよう。
けれどこの作品に私が最も胸打たれたのは、登場するキャラクター達の心理描写です。
主人公・拓真は普通の高校生。
圧倒的な力を得たといっても心が付いていかず、悩み苦しみます。
自分はエルガイアではない、それでも戦いを挑まれ続ける限り逃げることなどできない、何故こんな理不尽な目に、何故分かり合えない――彼の苦悩は等身大で、生身の人間であることをひしひしと思い知らされます。
それゆえ共感を誘うだけでなく、緩やかに成長していく様にもリアルさがあり、応援するというより同化したような気持ちになりました。
また倒されるべきミュータント達の思い、これが重い。
復讐心に燃える彼らも同じく苦悩し、哀しみを抱えています。
何故戦う、何故分かり合えない、何故……とただ戦って勝敗を決するのではない、深い痛みに満ちた戦闘を繰り広げるのです。
そして拓真の自称彼女・ゆっこに、警察官の舘山寺と木場。
彼らもそれぞれ強い思いと葛藤を抱え、拓真を支え鼓舞します。彼らなくしては、拓真はエルガイアとして戦うことはできなかったと述べても、過言ではありません。
戦闘に次ぐ戦闘。しかしそこには、数々の痛みと苦しみが渦巻いています。
だからこそ一つ一つの戦いが、真に胸に迫る!
この作品には、綺麗事などありません。
皆、そんなものでは片付けられないものを抱えているから。
痛みに喘ぎ、苦しみに藻掻き、未来へと足掻く、魂を削られるかのような熱い物語です。
勝手ながら、個人的にとても親近感の湧く作品で好きですw
主人公を取り巻く環境。人類の天敵という明確な敵。
非常にわかりやすく、これ以上ないほど熱くなれる物語になる可能性を秘めていると思います。
やはり、こういう王道系ストーリーが一番好きです。
読んでてエルガイアの右腕が作品の中では重要なキーとなっていることはわかります。これは左腕とか、足とか、他の部位もあるのかな?(ワクワク
強いて求めるならば、もう少し戦闘シーンに動きが欲しいのと、敵の描写(例えばゼルゼノガとか)が欲しいですね。頭の中で映像として書き出すにはたまに不十分な箇所がありました。
とはいえ、面白い作品です。
こういう作品がカクヨムで増えてくれたら嬉しいな(*^^)v
他の方のレビューでも書かれているように、仮面ライダークウガだったりアマゾンだったり、それ以外にも様々な特撮やヒーロー物の要素を感じさせる作品でした。それでも模倣品といった印象はなく、オリジナリティを確立しているのは見事だと思いました。
難しい単語を使用せずサクサクと読み進める文章は、アクションシーンも含め加速度的に上達し、読者を惹き付けていきます。主人公の拓真と共に、作者さん自身の成長も感じ取れます。
変身したり必殺技を叫んだり怪人が出てきたり、それだけ見ると子供向けにも思えますが、各登場人物の言動や作中の描写がリアルなので、違和感を上手く排除できています。なのでこの作品はむしろ、昔ヒーロー物が好きだった子供達、成長した今だからこそ熱いものを求める大人達にオススメできる作品だと感じました。