オモテナシの心は、種族を超えたり、超えてなかったり。

 異種族間の友情とは、ちょっと違います。

 本作に登場するハムスターは人間(文法がおかしい)で、黒ぶちメガネをかけて(耳は頭頂部)髪の薄くなった(どこからが髪なのか)おっさんという、ヴィジュアライズが少し難しい御人、いやハムスター。
 自称スーパーパワーなエスパーでありながら、なんの因果かハムスターに身をやつし、流浪の旅をする彼を、主人公の北橋達月(きたばしたつき)くんが美味しい料理でオモテナシするお話です。

 「男子厨房に入らず」なんて、明治、大正、ぎりぎりゆずって昭和までのローカルルール、イマドキ男子には欠かせないモテ要素、それが料理です(決めつける)。
 作中で披露される達月くんの手料理は、どれもこれも素晴らしい工夫と愛情(普遍的アガペー的な広義の意味)が込められた、なんとも御相伴にあずかりたい逸品ぞろいになっています。

 とある事情でプライベートヒッキー(失礼)な達月くんですが、ゆったりと流れる時間と物語の中で、少しずつ心境と環境に変化が訪れます。

 タイヘン気になる女性キャラクターの登場や、作者さまの別作品「コード・オリヅル」ともリンクしつつ、さわやかな笑顔、とりあえずのラストシーンに余韻を残すホームメイド・ほこほこコメディ、幸福感と空腹感をオスソワケしてもらえます!

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