第6話 別行動

 馬1頭が北方面へかなり速いスピードで向かっている。そう、皆に危険を知らせる為だ。


 馬に乗っているのはドランクジラフギルド、シーフのコウレイ。

どうやらドラパールへと向かっている。それもその筈、魔界の群れがドラパール王国に近づいているからであった。


コウレイは素早く入口の関所を突破し酒場へと急いだ。


「大変だ!魔界の奴らがこちらに向かっていたぞ!」


「何だと!嘘をつくな!奴らはつい最近ゼネフルの地で争いをしたばかり。陣形をもう整えたとでも言うのか!?」


酒場の中にいる冒険者は魔物を仕留める気合いが十分、次々と準備をしていく。


「戦いは大変であろうが、大きな報酬のチャンスでもある。」

「遂に新しく買った武器を試す時が来たぜ!」

「石みたいな牛みたいな奴に親父が殺された!奴は俺がやる!きっといるはずだ!」

ザワザワザワザワ


酒場は慌ただしくなっていた。






 一方、ドラパール市街地より外れた田舎道、何故かそこにゲルディはいた。


『ゲルディ様?モンちゃんを見つけたその後に、プロポーズのアプローチを待っていますよ?』


大魔王は悩んでいた。コウモリモンキーの捜索、期待されているプロポーズ、2つの事をずっと考えながらも、いつしか敵地にいた。


「・・・はぁ・・・」


つい独り言の様に声に出してしまう。そんな時にいつの間にか集落に着いた。


「・・・人間共の集落か・・・こんな所に飛猿なんているわけ・・・」


そう思っていたゲルディだが、集落の中で最もボロボロな家から物音が聞こえる。


ピシッ!ピシッ!コラー!


いや、物音と声と聞こえる。ゲルディは家の窓へ近づいてみた。


(デュエルには怒られるし、飛猿にはイライラするし、人間は臭いし、いっその事この声を黙らせてやろうか・・・)


そんな事を考えていた時だった。


「ひええぇぇぇ、ごしゅじんさまあ〜、おゆるしくだせえ〜」


「まった貴様は!何度同じ失敗を繰り返すつもりだぁ!」


家の中にはチョビ髭の男が眉に皺を寄せ、右手には小さな鞭を持っていた。何度も鞭で素早く叩いている。


(フンッ、醜い争いよ!これだから人間は人間同士で争いばかり・・・ん?)


ゲルディは一度見て、興味ない人間の争いと判断し眼を逸らそうとしたが、二度見してしまう。叩かれている相手は紛れもなくコウモリモンキーであったのだ!


「と・・・飛猿!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大魔王プロポーズ大作戦 織田 福之助 @ovaihan8900

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ