第6話 別行動
馬1頭が北方面へかなり速いスピードで向かっている。そう、皆に危険を知らせる為だ。
馬に乗っているのはドランクジラフギルド、シーフのコウレイ。
どうやらドラパールへと向かっている。それもその筈、魔界の群れがドラパール王国に近づいているからであった。
コウレイは素早く入口の関所を突破し酒場へと急いだ。
「大変だ!魔界の奴らがこちらに向かっていたぞ!」
「何だと!嘘をつくな!奴らはつい最近ゼネフルの地で争いをしたばかり。陣形をもう整えたとでも言うのか!?」
酒場の中にいる冒険者は魔物を仕留める気合いが十分、次々と準備をしていく。
「戦いは大変であろうが、大きな報酬のチャンスでもある。」
「遂に新しく買った武器を試す時が来たぜ!」
「石みたいな牛みたいな奴に親父が殺された!奴は俺がやる!きっといるはずだ!」
ザワザワザワザワ
酒場は慌ただしくなっていた。
★
一方、ドラパール市街地より外れた田舎道、何故かそこにゲルディはいた。
『ゲルディ様?モンちゃんを見つけたその後に、プロポーズのアプローチを待っていますよ?』
大魔王は悩んでいた。コウモリモンキーの捜索、期待されているプロポーズ、2つの事をずっと考えながらも、いつしか敵地にいた。
「・・・はぁ・・・」
つい独り言の様に声に出してしまう。そんな時にいつの間にか集落に着いた。
「・・・人間共の集落か・・・こんな所に飛猿なんているわけ・・・」
そう思っていたゲルディだが、集落の中で最もボロボロな家から物音が聞こえる。
ピシッ!ピシッ!コラー!
いや、物音と声と聞こえる。ゲルディは家の窓へ近づいてみた。
(デュエルには怒られるし、飛猿にはイライラするし、人間は臭いし、いっその事この声を黙らせてやろうか・・・)
そんな事を考えていた時だった。
「ひええぇぇぇ、ごしゅじんさまあ〜、おゆるしくだせえ〜」
「まった貴様は!何度同じ失敗を繰り返すつもりだぁ!」
家の中にはチョビ髭の男が眉に皺を寄せ、右手には小さな鞭を持っていた。何度も鞭で素早く叩いている。
(フンッ、醜い争いよ!これだから人間は人間同士で争いばかり・・・ん?)
ゲルディは一度見て、興味ない人間の争いと判断し眼を逸らそうとしたが、二度見してしまう。叩かれている相手は紛れもなくコウモリモンキーであったのだ!
「と・・・飛猿!」
大魔王プロポーズ大作戦 織田 福之助 @ovaihan8900
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