第5話 スドムの性格

 ここは、ゼネフルの地。魔界と人界の境目の場所である。大魔王ゲルディを除く魔王軍がコウモリモンキーを探し始めて既に3日が過ぎていた。未だに手がかりがなく、3獣士達は痺れを切らしていた。

 中でも一番血の気が多い石牛のスドムは怒りが頂点に達した模様。


「おい!ゴブリン達!まだか!まだ見つからんのか!?」


 スドムはゴブリン隊を率いるボブゴブリン隊長に青筋を膨らませていた。


「も、申し訳ございません、我がゴブリン隊目を皿の様にして探しているのですが、なんせどこもかしこも瓦礫の山・・・」


チャコ!!


「むぅ・・・役立たずめが!」


 ボブゴブリン隊長は話の途中にも関わらず、スドム自慢の大斧で真っ二つにされてしまった。

 それを見て見ぬふりをしていた周りの魔物達は震え始める。


「良いかお前達、今日だ!今日中にコウモリモンキーを見つけろ!」


ザワザワザワザワ(そんな無茶なー)


「なんじゃ!このスドムに文句があるのか!なんなら今、叩っ斬ってやるぞ!!」


その一言で魔物達は必死になって探し始める。


「まったく、始めからそれくらい気合い入れて探さんか!」


 こうしてスドムのイライラは少しだけ治まった。


「おいおい・・・随分荒れてるなスドム、もう少し部下に優しくしないと、それだとパワハラ・・・」


一部始終見ていたマンティコアのディボルテは一言言おうとしたが・・・


「ンモォー?ワシに文句があると?」


「い、いや〜ッハッハッハ、早くコウモリモンキー見つかれば良いなーッハッハッハ。」


と、こんな調子であった。


そしてもう1人の3獣士、バシリスクのドロークは、ふと思った事を話し始めた。


「なあ、おそらくコウモリモンキーは、ゼネフル攻防戦の後、人間に囚われたんじゃないかな?」


「ンモォ?ドロークよ、お主なかなか鋭い予想をするよのう。」


「ここはどうだろう、ここより少し先の北東にある人界の街、ドラパールに奇襲攻撃を仕掛けるのは。」


ドロークの案に、周りがまた騒めき始めた。


ザワザワザワザワ(え?マジか!)

ザワザワザワザワ(めんどくせー)

ザワザワザワザワ(いなかったら無駄足)


魔物達は行きたくないオーラを出していた。


しかし


「ンモォ!クックック、ドロークよ、なかなか良い提案を考えつくよのう。あの忌々しい街を破壊するのは大賛成よ、コウモリモンキーが例えいなくても、破壊さえしてしまえば大魔王様もあねさんもお喜びになるであろう。のう、みんな?」


ザワザワ(そ、そうですね・・・)

ザワザワ(ええ、あの街は奇襲しましょう)

ザワザワ(トホホ、スドム様も悪ですねぇ)


「クックック、一致団結じゃな。

ンモォーーーーーーーーーー!!

聞けーーーい、皆のもの、コウモリモンキーはこのゼネフルの地にはおらぬ事が判明した。なんせ、3獣士の1人、バシリスクのドロークがそう言うのだからな!」


「え?」(おいおい、わしゃ〜予想をしただけじゃ)


「今からドラパールに向かえば夜には到着するであろう。我々魔界の者が得意とする夜にだ。皆のもの、今夜は大暴れが出来るぞ!」


ザワザワ(マジか、もう捜索で筋肉痛)

ザワザワ(今日は帰らせてくれよー)


「ンモォー!よし、行くぞ!今日はお祭りじゃあ!!」


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨「我につづけ〜!」


 石牛のスドムは先頭に、軍を指揮した。


ドドドドドド(お、鬼〜)

ドドドドドド(悪魔〜)


 ご覧の通り、石牛のスドムは皆に恐れられている様子。

ドラパールで一体どんな出来事が起きるのだろうか。又、コウモリモンキーは何処に・・・



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る