竜がもし実在したのならば、あり得たかもしれない貴い葬送——。

 かつて暴君として君臨し、捧げられた人を喰らっていた竜。
 今は鎖に繋がれていて、貴人の葬送の際のみ、その遺骸を食うことを許されるという。

 幼い太子の無邪気な問いと共に「竜葬」という不思議な儀式の秘密が語られていく様子は、歴史書の一部を紐解いているかのようです。

 かくも強大な力を持つ竜がいかにして繋がれるようになったのか。
 他の竜たちは一体どうしてしまったのか。

 そんな、語られなかった過去や背景がとても知りたくなる、短い中にもぎゅっと深い世界観の詰まった物語でした。